57話 選択のお時間
冒険者ギルドのランクをEからDに上げるにはたしか依頼を20個こなせば確かに上がる。だからと言って納品20個やっても上げてはくれない。Eランクの依頼は納品が少ないためだ。下のランクの依頼を受けることが出来ないためにさらに厳しくなる。
直人は本来の目的を考え直す。中距離の転移実験だ。地図を見たところ小島は見当たらない。海の向こうの陸地に行かないといけないのは間違いない。そこで手段だが、
①冒険者ギルドのランクを上げるために依頼を20個受ける。
②地下都市から徒歩で50階層上る…入らせてもらえるかが不明。
③何があるかわからないが空を飛んでいく。
「どれがいいのかな~…」
一度誰かに相談してみるか…
~クラスタの場合~
王都をふらついていたらクラスタを見かけたので相談してみることにした。
「この3つの手段どれかで別の陸地へ行きたいのだがどう思う?」
「4番、行くのをあきらめる。」
「いや、話聞いてた?行くのが前提、な?」
「5番、行く必要がなくなる。」
「もういいわ…」
~カイナの場合~
クラスタと一緒にたまたまいたカイナにも聞いてみる。
「カイナはどう思う?」
「…そんな陸地おとぎ話の世界でしょうに。」
そもそも存在すら否定かよ…
~オルガの場合~
そのまま商店街でオルガに遭遇というか店に顔をだす。
「どの選択がいいと思う?」
「ナオトはこのままここを継ぐのがいいと思うんだけどな~」
「却下で。」
会話にならなかった。
~ラスティンの場合~
無駄だと思うがそこにいるから一応聞いてみる。
「どうよ…?」
「他の陸地ではもっといい魔道具とかあるのか?」
「しらん。」
あまり内容を理解出来ていないようだ。
~イレーネの場合~
埒が明かないのでイレーネに占ってもらうことにする。
「僕のこれからの未来に何が見える?」
「……見たことのない建物や服装をした人達が見えます。」
「そっか帰れるのか…」
どうやら直人は元の世界に帰ることは出来るようだ。
~ネネの場合~
もちろんネネが一緒にいたので聞いてみる。
「どれがいいかな?」
「一緒に、ダンジョン、いこ?」
「つまり①を選択ということかな?」
「そう、もっと下層へ。」
……ネネの場合はダンジョン行きたいだけなのかも知れない。
~サラキアの場合~
あまりいい返事は期待できないだろうが聞いてみる。
「とりあえずできることかりゃすりゅといいお。」
「はい、そうですね。」
それはもちろんわかっている。
~テンタチィオネの場合~
なんかずっとサラキアのところにいるから聞いてみる。
「やりたいようにやってみるといいさ…」
「まあそうだが。」
「応援している。」
なんか応援された。
~アストレアの場合~
様子を見に行くついでに話しかける。
「どれが早そうだ?」
「そうね…確実なものを選んだほうがいいわね。」
「確実なもの?」
「たとえばランク上げてダンジョン入ったけど出口はありませんでしたとか。」
「あーその先を想定してみるってことか。」
「そうそう。空を飛んでったら飛べないとこがあるかも?あっちの陸地の人に化物呼ばわりされるとか?」
「なるほどね~」
「つまり50階から徒歩で向かったほうがいいってことか?」
「時間はかかるけど危険はないし、出口がない可能性もあるけど危険がないんだから帰ればいいだけ。」
「ちなみに聞くが…アストレアが氾濫に巻き込まれたときどのくらいの日数かかったんだ?」
「日数はわからないけど、おなかのすきがやばかったわ…」
一番いい意見をもらえた気がする。
~モートの場合~
ついでにモートに畑へ入る許可を貰ってみる。
「入るのはかまわないが、長いこと放置だから門番が襲ってくるかもしれんぞ?」
「え、何とかしてくださいよ…」
「私の言うことも聞かんかもしれんのだがな…」
「倒すしかないと?」
「倒されると困るのだが…」
「逃げればいいのかな…」
「ああ、そうしてくれ。それなら通っていいぞ。」
「ちなみにどんな子がいるんでしょう?」
「身長が私の3倍くらいで、一応2足歩行。皮膚がゴツゴツしていて、大きな口でいくつもの牙を持っているな。あと尻尾があるぞ。」
許可はもらえたが化物が待っていた!
まあでもそれさえなんとかすれば通れそうだ。1つ上の階層49階に逃げ込めれば勝ちである。
「まあ準備していってみますかね。」
一応行き先がダンジョンなのでネネに声をかけてみたが、「アイテムない、なら、行かない。」と断られた。
まあ今回は1人でのんびりダンジョン攻略としましょうか…魔物がでないし、何もない洞窟状のなかを ひたすら歩く苦行を…
行動を決定した直人は手持ちの荷物を確認し、食料がある程度あるのを確かめるとそのままサラキアの隣にあるモートの畑へと足を運んだ。
別れ際にモートが、「他の階層にも念のため門番おいたようなきもするな…勘違いかも…」と言っていたのだが直人には聞こえていなかった。