53話 森の先へ
申し訳なさそうな困ったような顔をしたネネと分かれた後、一度アストレアに召喚魔法の進行について確認へ戻ることにした。
「あら、ナオト私そろそろ帰るとこだったんだけど…」
「ちょっと確認だけだからすぐ僕も帰るよ。」
それならと言うアストレアに現在の召喚魔法の進行状況についてたずねると、あれから1つあがり現在はレベルが5になっているとのことだった。
「レベル5というと近距離の物質の召喚か。」
「そうね。この地下都市から地上の私の部屋くらいなら届くわよ。」
着替えとかが取り寄せられるから便利ねとのことだ。よく見てみるとその練習に部屋から取り寄せたと思われる服などが散乱している。
「あーうん…部屋に帰ったら再び召喚魔法で戻すわよ。それが練習になるしね。」
だそうだ。
「ところでナオトは今は何を?」
「折角なのでいろんなとこに観光に行こうかと思って、今日はフォレストガーデンのダンジョン『ケレス』の帰りなんだ。」
魔道具の実験のことは伏せ、フォレストガーデンへ行ってきたことを話すと、
「あーあの変なとこ…」
という反応だった。そもそもダンジョン自体がどこも普通ではないと思うのだが、まあいいか…
アストレアと分かれた後宿へ戻り今日は休むことにした。次の日まずは魔道具でフォレストガーデンへ一気に飛ぶと今日は森を北へ抜けることを目標とした。
「北へ?行ってもまた海があるだけですよ?」
ギルド職員のお姉さんに話を聞くとそんなことを言われた。一応森を抜けた先から西へ行くと港町があるらしい。地図もだしてくれて確認すると、ここは陸というより少し大きめな島国のようで、北へ抜けても海があるのは当たり前だった。
「あ、今日も、いる…」
「ネネもな。」
「私は、いつも、まずは、ここの、依頼チェック、だよ。」
そういえば家が近いとかいってたな。
「初心者は、森、抜けるの?」
「ああ、北へ抜けてその西にある港町へ足を運んで見るつもりだよ。」
「ふむ…今度こそ、案内、する!」
どうやら案内してくれるというのでお願いし、ネネと2人冒険者ギルドを出るとそのまま北へと歩き出そうとしたので、クリアを『ディメンションウォール』から連れ出しネネを前に乗せて2人で乗っていくことにした。
どうやらちゃんとした道はないようで木々を避けながら、ネネに言われるまま北へと進む。途中リスのような小動物やスライムを見かけたが襲ってくる様子がなかったので放置した。
感覚で1時間ほど進んだあたりで一度休憩を取ることにした。移動はクリアがやってくれているので直人とネネは疲れてはいないのだが、念のための休憩だ。
「ネネ、後どのくらいで森を抜けられるんだ?」
「んーと、今、進んだ、と、同じくらい?」
『クリエイト』でその場に椅子を作り座りながら軽くお茶にする。昨日のダンジョンで手にいれた人形焼とチョコレートだ。数は狩っていないので今回食べたらもうない。
「……終わり?」
「もうないよ。」
もっと沢山欲しいとネネが目で訴えている。
「…また今度とってくるから。」
「約束。」
休憩を済ませるとまた北へ向けて移動を開始した。思ったより森が狭そうだなと思ってネネに聞くと、エルフの近道があり、そこを利用しているので普通に通るより早く進めると言う話らしい。同じく1時間くらい歩くと森の切れ目が見えてきた。
「おーこれで今度は一気に飛べるな!」
「森も、ずっと高いとこ、なら、飛べるけど?」
「それ、早く知りたかったわ…」
「森を、進みたい、の、かと。」
クリアにお礼を言って戻ってもらい、かわりにうさ野郎に出てきてもらった。ここからは空を飛んでとりあえず西にある港町へ向かうことにする。
「やっぱり、眺め、いいー」
ネネも港町に行ってみたいらしく、今は2人用のブランコのようなものに乗って空を移動中である。高いところから見ると色々なものが見えるもので、その港町に向かっている馬車なども見えた。
「フォレストガーデンから北に町は1つなのに馬車…?」
森の中にいくつか集落はあるらしいが、道がないいじょう馬車を利用することもないはずなのだが、なぜか森のほうから港町に向けて馬車が走っている。
「あの馬車は一体…」
馬車のことは気になるが、それもすでに追い越し町の入り口近くでうさ野郎から下りて徒歩で門に向かうことにした。
「マリーナスへようこそ!」
門を通過するとこの町の人だろう、門から中へと入る人に同じように挨拶をしている。『ヴィータ』も港町だったがそこよりも賑わっていた。なんというか観光用の町みたいに見える。
とりあえずさらに先に進むためにはこの先の状態が見える場所、つまり一番北へまずは足を運ぶ。北側は港になっていたようだ。その港に立ち、海の向こうが少しでもみえないかなーと今は眺めている。まあ見えないわけだが…
むやみやたらに飛んでいき、森みたいに飛べない場所などがあると困るので、今日はこの町で地図などないか探してみることにした。




