4話 ブルースライム
さてと……
「これが町の外かー」
辺りを見回してみる。ギルド登録が終わった後、早速依頼を受けて門の外へ出てみた。
いやーギルドカードが無いと外に出れないとかクラスタに会わなかったら途方にくれてたわ…
クラスタに感謝しつつ見渡すと、青いプルプルしたものがうごめいていた。Fランクで受けられる討伐対象の『ブルースライム』である。
「これがブルースライムかな?」
―――数分まえのこと。
「アリアさん。この依頼は初めてでも大丈夫そうかな?」
と、一枚の依頼書をみせる。
受け取ると紙面を少しながめた後、満面の笑みで答えてくれた。
「はい、いい選択だと思います。ブルースライムはこちらから攻撃をしない限り大人しいのでおススメです。ちょうどいいので、依頼の受け方の説明しますね。依頼書を持ってきたらギルドカードと重ねパネルに乗せてください。」
…依頼書が消えた!
「え?紙はどこへ⁇」
「ではこちらを見てください。」
先程渡したギルドカードを差し出してきた。
性別 男
年齢 15歳
種族 人間族
職業 学生
ランク F
依頼 ブルースライム討伐5体 ( 0/5 )本日中 ( 1/1)
「おおぉー便利ですね!」
攻撃しなければ大人しいって言ってたよな…
恐る恐るブルースライムに近づいてみる。スライムは一瞬見上げるような動きをして、そのまままた移動を続けた。
これ触れるんじゃないかな…
両手で持ってみることができた。
「ゼリーみたいだ。」
しばらくスライムをムニムニと触っていると、スライムが変形した。体の一部が細く伸び殴ってきた。
「いたっ。ちょっ連続で殴ってきたらさずがに痛いて。」
殴ってくるスライムを遠ざけたら勢い余って握りつぶしてしまった。
「あー…」
どうやら攻撃と思われてしまったようだ。ブルースライムは消えてしまっていた。スライムが消えた後にはペットボトルと青いキラキラした石が落ちていた。
「…………」
どう見てもペットボトルに入った飲み物だよな?
蓋を開けて飲んでみると、冷たくて甘くてシュワシュワしていた。
「サイダーかよ!」
サイダーと言葉にした途端ペットボトルにサイダーというラベルが現れた。
ピロン。スマホから音がした。ステータスを開いて確認してみると、色の違う文字で『 鑑定スキル 1 』とでていた。
へ〜スキルとか増えるんだ。
「こちらにいらしたんですね。」
スマホの画面を眺めながらサイダーを飲んでいると、クラスタが声をかけてきた。ギルドで聞いてきたのだろうか。近くまで来ると驚いた顔をした。
「そ、それはなんですか?」
ん?それって…どれだ?手に持っているのはスマホとサイダーと青い石だけど全部見せればいいか?
「どれ?」
3つとも目の前にだすと
「この2つです。さきほどは持っていなかったと思うのですが…」
「ブルースライムのドロップ品かな?」
「…………え?えーとですね、スライムは大体液体系アイテムをドロップしますけど、このアイテムは初めて見ます。入れ物も見たことがないです。」
「そうなんだ?普通なのかと思ってたよー」
そうだよねーサイダーとかありえないし!
直人は笑いながら答えた。
「笑い事ではありません。つまりはレアドロップだと言うことですっいいですか見ててください。」
そういうとクラスタは近くにいたブルースライムに向かってナイフを投げた。透明感のあるサイコロのようなものがドロップした。それを拾いみせてくる。
「これは?」
「水です。」
「水⁉︎いや、でもさわっても四角いままだけどっ」
「それでは手のひらに乗せて『オープン』と、いってみて下さい。」
四角いアイテムを渡してきたので手のひらに乗せてみた。つついてみても固いままだ。一度深呼吸をしてから試してみることにした。
「オープン!」
ぱしゃっと音を立てそれは液体に戻った。コップ半分くらいの量になる。
……ゴクゴク
「水だ!」
驚いた顔をしてると、それが普通なのにと逆に戸惑った顔をされてしまった。
「それでそちらの『サイダー』?を私にも味を見させていただけませんか?」
「いいけど口つけちゃったよ?」
「構いません。その方が安全性を感じられますので。」
なるほど。
それならばとペットボトルを差し出した。受け取ると冷たいことに驚き、次に手のひらに出してみた。液体がシュワシュワといっているのにさらに驚きを隠せないようだ。
「…甘いです。口の中でパチパチして不思議。美味しいですっ」
目を輝かせながら感想を言った。
「せっかくなので二人でそれぞれブルースライムを10匹づつ狩ってドロップを比較してみましょうか。」
ということで、しばらくブルースライムを狩ることになった。10匹終わりアイテムを持ってさっきの場所で合流した。
クラスタ: 水×10
直人: ペットボトル×10(サイダー5/水5)石10
「凄いですね…そういえばこの石は鑑定しないのですか?」
「あ、すっかり忘れてた。」
鑑定をしてみるとアクアマリン(原石)と出ていた。
「原石を見るのは初めてでしたのでわかりませんでしたわ。でもこれがあれば魔法具とかに使えそうですね。」
依頼も終わったことなので、2人で冒険者ギルドに向かうことにした。