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たとえばこんな異世界ライフ  作者: れのひと
第5章 祭り祭りそして祭り
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47話 祭り2日目

 商人ギルドの一室で仕事をしている男が1人でいやらしい笑みを浮かべている。どうやら何か嬉しいことがあったようだ。本日は祭りの2日目。こんな日に仕事をしているのだが何がうれしいのだろうか。今にも大声で笑い出しそうな雰囲気をかもし出している。


 コンコン。


 扉をノックする音が響いた。どうやら誰か尋ねてきたようだ。


「どうぞ。」


 入るように促すと、そこに一気に人が数人入ってくる…ほとんどの人が鎧をつけている人ばかりでだ…


「え?…なっ」


 男が驚きの声を上げるが、その鎧たちの間から1人の女性が現れるとその状況にも納得がいき若干落ち着くことが出来た。だが、目の前の女性がこんなとこに来たことに対しては少しだけ驚いてはいるのだ。


「これはこれは姫様、今日はどのような用件でしょうか?」


 手をこすり合わせ腰を低くし用件を尋ねる姿は少し情けなく見えるがそれも仕方ない。目の前にいるのはこの国の王女様なのだ。


「用件は1つよ。」

「はい、なんでしょうか?」

「あなたには今日から北の鉱山で働いてもらうことになりました。父に代わり連行します。」

「…は?なぜですか。」

「理由を言わないとわからないの?」

「え、ええ…なにがなんなのか…」


 アストレアはため息を1つ吐くとこう続けた。


「数々のギルドでの態度、素行。そして極めつけはナオトを採掘場の倉庫に閉じ込めたことね。」

「ナオト…?倉庫…あっ」


 男は青ざめ口を押さえている。どうしてばれたのだろうかという感じだ。その後問答無用で男は連行されたのは言うまでもない。






「おはようございますー。」


 直人は昨日と同じように露店のある場所へと顔を出した。今日はラスティンが先に販売に立つようで準備をしている。


「おーナオトどうだ、頼まれてたぶんは作れたのか?」

「はい、時間はそんなかからないの出来てますよー」


 昨夜倉庫から『ディメンションウォール』でアストレアのとこから脱出した後全部作っておいたのだ。もちろん今日の分の鎖も作ってある。昨日より少し増やし全部で80本だ。ちなみにアストレアのとこからだったのはネネもテンタチィオネも寝ていたのか反応がなかったからだ。


 ナオトも準備を始める。準備といっても見本と料金表、あと記入用紙を置くくらいだ。


「今日もよろしくお願いしますね。」


 左隣のリーネが来たようだ。


「あ、よろしくーっ」

「そうだこのネックレスありがとう。これがあると下処理がずいぶん楽になったよーっ」


 それだけ言うとリーネは仕事に戻っていった。左隣が来たということは右隣も時期に来るだろか。今日から参加するようなことを言っていた気がするので、そのうち顔をだすだろう。


「あ、いたいたナオトーっ」


 そんなことを考えていたらアストレアが顔を見せに来た。一応この国の姫なのだが本人もろくに自覚もない上に、ちゃんとした服装でいないと周りの人も意外に気がつかない。今日は最近よくみかける冒険者の服装だ。


「ふぅ~ん…ほんとに祭りに参加してるのね。」


 昨日『ディメンションウォール』で顔を合わせたときにある程度最近の状況を話していた。たぶんそれで興味をもち見に来たのだろう。


「おじょうちゃんもナオトの知り合いか。女しか知り合いがいないのか…」


 そんなことを言われても困る。テンタチィオネと王様、あとは地下の魔王たちくらいしか男性の知り合いがいない。こんなラスティンの言葉を聞いたアストレアはなぜかこちらを睨んでいる。


「女ね…」

「……?」


 アストレアも知っている人たちばかりなのに何を怒っているんだ…?


「初心者、きた。」

「今日もお手伝いしますねー。」


 そこへ丁度ネネとクラスタが手伝いに顔を出した。2人は昨日装備してもらったアクセサリーを今日もちゃんと着けてきている。


「…あら、あなた達ナオトを手伝っていたのね。」

「ん、ご飯の、ためにっ」

「あ、はい。どうせ暇でしたので…」


 それぞれ違う理由で手伝ってくれていたようだ。まあネネのはわかりやすいな…

 2人の様子を眺めていたアストレアが再びこちらを睨んでいる。


「ナオト…もちろん私にもくれるわよね?」

「なにを??」

「アクセサリーに決まってるでしょ~~っ」

「え、何も効果ついてないやつだよ?」

「効果とかどうでもいいの。2人にあげて私にだけないとか言わないわよね…?」


 半分脅されつつアストレアにも彼女の銀髪にあわせ、赤いハート型をつけたネックレスを渡した。それに満足したのかやっと機嫌が直り、本来の用事を告げた。


「そうそう、昨日のことだけど。」

「ん?」

「さんざん迷惑ばかりかけてたから、反省室じゃもう足りないと判断されてね、北の鉱山送りになったから。」

「そ、そんなことになったのか…」

「ええ、しばらく王都には戻れないはずよ。」


 ただのギルド職員が鉱山とか重労働をさせられるというのはきっと大変なんだろうなと直人は思った。それから祭りの2日目が開催され数時間たつが右隣の店には結局誰も来なかった。


「え、このお店はこないわよ?たしかナオトを閉じ込めたうちの一人だもの。」


 同じく鉱山送りになっているそうだ。結局隣の店に何が出るはずだったのかわからないまま祭りは進んでいくのであった。

 

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