34話 魔法具2
今日は店番のほうを先にやることになった。カウンターに備え付けられている椅子にかけ、客がこない限りやることはほとんどないのでその合間に手元では『クリエイト』で腕輪を作り付与の確認作業を行っている。
確か原石を加工して装飾としてつけると効果が上がるとかいってたよね。でも…材料に混ぜてしまうとかむしろそれを元に『クリエイト』するとどうなるんだろう?
気になったらやってみたくなるのは当たり前で、まずは混ぜて試してみることにした。ラスティンに分けてもらった鉱石と直人が持っている原石、今回はオレンジ色をしたシトロンの原石を混ぜ込んでみた。
…ん?
『クリエイト』で腕輪にした。そのときほわっと光を発した。見た目は鉱石だけだと黒っぽかったり銀色だったりするのだが、これはちょっと黄色い物になっている。とりあえず鑑定をしてみる。
腕輪(直人作)
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ドロップアイテム増加LV3
鉱石とシトロンの混合されている腕輪
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初めてみる効果だ。鉱石だけだと1とか2しかつかなかったレベルも3となっている。混ぜることでレベルが上がりやすくでもなったのだろうか…?
とりあえず横においておいて次は白みがかった緑色をしたジェダイトを2個のみを使用して腕輪を作ってみる。2個使うのは量として1個だと足りなさそうだからだ。
うぉっ…
『クリエイト』を使った瞬間強めの光がまぶしかった。手元には完成した腕輪がある。石の色そのままの腕輪が出来ていた。
腕輪(直人作)
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命中LV5
ジェダイトで出来ている腕輪
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効果は見たことあるがレベルが高い。2つの腕輪を手に取り眺めていると。目の前に見知らぬ人が直人の手元を覗き込んでいた。
「をっ…えーとお客さんかな?」
直人が声をだすと、目の前に立っていた男と目があった。
「いや、失礼。この店から光が見えたので気になってよらせてもらったんだが…」
再び直人の手元にある腕輪に視線を送っている。どうやらこの腕輪が気になるらしい。
「はあ…」
「その腕輪は売り物なのか?」
「これですか?えーと魔法具を作る練習で作ったものですよ。」
「なにっじゃあ売り物ではないのかっ?」
「いや…僕に言われても…」
勝手に作ったものなんて売ったら怒られてしまわないか?
「何の騒ぎだ。」
「何々~?すっごい光だったけど。」
奥からラスティンとオルガが顔をだした。2人は直人と会話をしていた男の人のほうを見る。
「「ギルドマスター!」」
ギルドマスター?え、どこの?
いったん店を閉め工房のさらに奥にある住居スペースにきている。オルガが飲み物を用意し、机にならべた。まあ、ただの水なんだが…
「ここの都市の商人ギルドのギルドマスター、テルトゥーナだ。君とは初めて会うね。」
「はい、先日商人ギルドに登録したばかりで直人といいます。」
「おい、ナオト何をしでかしたんだ…やけに光っていたが。」
「何って…」
机の上に先ほど作った2つを置きこの2つを作った時に光ったことを話した。そこにちょうどギルドマスターが現れたのである。
ラスティンは腕輪を1つ手に取り眺めている。どうやら付与の確認をしているようだ。一瞬驚いた顔をし、もう一方の腕輪も手にとり眺めている。
「なんだこの効果は…レベルも見ない数字だな。」
「それだけじゃないよーこの色も不自然!」
横からオルガも口を挟んでいる。
「不自然??」
「そうよ、鉱石で作られるから大体黒っぽいか銀色になるでしょう?なのに別の色がついてるんだもの。」
「何を気にしていたのかわかってもらえたかねナオト君?」
2人のやり取りをそれまで黙ってみていたギルドマスターも口をはさむ。どうやらこのやり方での魔法具作りはやられたことがないらしい。
「…で、ナオト。何をしたんだ?」
「えーと…こっちは原石を混ぜて、こっちは原石だけで作ってみたんですが…だめでしたかね?」
「「「原石を混ぜた??」」」
3人はすごく驚いていた。それもそのはずだ気軽に使えるほどそもそも原石はたくさん手に入らないからだ。ところがほとんどの魔物からナオトは原石を出していたことにより、溜め込んでいてそれほど珍しいという認識がなかったのだ。
「おまっ…どうしたんだこの原石…」
「…?普通に魔物が落としましたけど。」
「………はぁぁ~」
ため息をひとつするとラスティンは頭を抱えた。オルガは目を輝かせているし、ギルドマスターにいたっては何か考え込んでいる。
「ナオト君、もしかしてこれにさらに原石を加工して付けられたりするのかな?」
「「!!」」
「あ、はいできると思いますよ。ただ僕は原石の加工の仕方しらないんですよね。」
「そういえば教えてなかったな。」ということで目の前で昨日採掘場で手に入れた原石を加工するところを見せてくれた。同じく『クリエイト』で出来るようだ。余分な岩が落ち綺麗に磨かれ光沢を帯びている。
出来上がった石を鑑定すると『ルビー』とでていた。
「ためしにこれを装飾としてつけてみろ。」
ラスティンが『ルビー』を手渡した。早速『ジェダイト』でつくった『命中5』がついてるほうにつけてみた。
ルビーの腕輪(ナオト作)
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命中LV10
ジェダイトで出来ている腕輪 ルビーがついている
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「レレレレレレレレベル10~~~~?」
「うわぁ~…」
「すごい、付けられたね。」
妙にラスティンが驚いている。付けられればレベルも上がるのは当然だ。なのに、だ…
「10ですね…」
「ナオトっ10のすごさをわかっていないだろう!」
「どうすごいんですか?」
「これは命中10、レベルMAX、必中ってことだろうがぁ~~!!」
そういわれてもピンとこない。そもそも攻撃を外したこともないし周りの人たちもそんな様子はなかった。
「はぁ…祭りで売れますかね~?」
「こんなもん出したら騒ぎになるだろうがーーーっ」
ラスティンの叫び声が響く。祭りに出すものは混ぜたほうまでということにするらしい。




