11話 地下都市
テンタチィオネはいつものようにダンジョン『サラキア』を散策していた。なんども来ているうちにあることに気がついた。地下40階まではゆっくりと魔物が強くなって来ていたが、地下41階から急激に強さが変化したからだ。
この先に何が?
このまま魔物を狩りながら進んでもいいが、早く先を見たいと言う気持ちが強く魔法で姿を隠しさらに奥へと進んでいった。
地下50階に到達。馬鹿でかい魔物がいる。
でか過ぎだろう…
見上げるとテンタチィオネの身長の5倍くらいある。今にもダンジョンの天井に届きそうだ。
………ん?
その魔物の後ろに扉があるのが見えた。今まで下に降りるための階段なら何度も見たが、扉は初めて見る。魔物は無視してその扉に近づくことにした。とくに結界や罠は無さそうだ。ゆっくりと扉を開けることにした。
扉の向こう側はダンジョンの中より少しだけ明るく暖かい広々とした空間になっていた。いくつもの建物が立ち並び、人々が各々生活をしているようだ。ただ違うことは頭にツノが生えている者や背中に羽が生えている者など、地上では見たこともない種族ばかりがいる。
「地下…都市?」
その光景に驚き、散策すべく歩き出そうとした直後、背後から声をかけられた。
「まて。あちしの言葉は理解できりゅか?」
振り返るとそこには3歳くらいの女の子が立っていた。二本のツノが生えている。女の子は僕の返事を待っているようだ。
「……日本語?」
驚いたことに日本語で話かけてきた女の子は突然飛びついて首に手を回しぶら下がった。耳元で女の子は話し始める、
「とりあえじゅ姿を魔法で隠しぇ。」
言われて気がついた。いつのまにか魔法が解除されていた。
「あ…」
言われてすぐ魔法で姿を隠す。それを確認すると、女の子は手を繋いできた。
「次はこっちにくりゅ」
手を伸ばし『ひらけ』と言った先についてこいと言うのだ。
これは『ディメンションウォール』か…?
よくわからないがひとまずついて行ってみることにした。
中に入って周りを確認するとやはりそのようだ。ある程度生活出来るような家具が置かれている。その家具達はどこか懐かしさを感じる作りと配置をしていた。
「ここなら消えてにゃくていいよ。」
女の子はそう言うと軽くお辞儀をした。
「サラキアの部屋へようこしょ。」
サラキア…?ダンジョンの名前と同じだ。
「お前、名前は?」
「……テンタチィオネ。」
「長い。テンでいいか?」
「ああ…」
サラキアは名前を聞いたあと僕の周りをうろつきだした。不思議そうな顔をしている。
「ツノも羽もなく…扉の中からきた。テンはちじょーのものか?」
「………」
ちじょー…地上か。
「まあ、よい。視てみればわかりゅ。」
そういうとサラキアの赤い目が金色に光った。しばらくするともとの赤い目に戻っていた。
「なるほど。人間族で転生者か。」
「え……?」
ステータスを見られた⁉︎
「……ん?そうか人間族はステータスを自力で見れないのか?じゃあ一方的に見たままじゃいかんし、あちしのも公開するよ。」
サラキアは目の前にステータスを表示した。
名前 サラキア
性別 女
年齢 3歳
種族 魔人族
職業 管理人
レベル 150
体力 10290/10290
魔力 21670/21670
称号 転生者 サラキア農園創造者 サラキア農園管理人
魔法 火魔法 5
水魔法 10
風魔法 5
土魔法 5
光魔法 1
闇魔法 5
氷魔法 5
雷魔法 5
空間魔法 9
生活魔法 10
スキル 物理耐性 6
魔法耐性 3
武術スキル 1
体術スキル 1
鑑定スキル 10
開錠スキル 10
加護 地球神の加護 2
「魔人?サラキア農園?……転生者⁉︎」
「うむ。そうだじょ?」
色々気になる言葉が並んでいた。
「聞いてもいいか?」
「いいぞ?後でちじょーのこと教えてくれたらにゃ。」
地上と地下の情報交換か。お互い知らなかった感じただしまあいいだろう。
「それで頼む。」
「では何がききたいの?」
僕は順番に聞いて行くことにした。
地下は明るい所を苦手とする種族が生活していると言う。そしてサラキアは魔人族でこの地下全体を管理している魔王の娘だそうな。地下の住人は全員地球からの転生者らしい。らしいというのは地球の知識を持つが大半は記憶が無いからである。なぜ転生者ばかりなのか聞くと、
「神様にでもきいてくりぇ」
だそうな。ちなみにサラキアも記憶はない。何かきっかけがあれば多少は思い出すこともあるとか。
次にサラキア農園についてだが、これは地上ではダンジョンと呼ばれているまさにさっきくぐった扉の中のことである。魔王の子供が200年に一度作ることになっているそうだ。
「それがなぜ地上まで?」
「しらん…が、魔力がつよすぎたのかにゃ?」
つまりサラキアは魔王の15人目の子供ということか。
管理人とは扉の出入りを管理して、不正に収穫をしないように見ているのだそうな。
「そろそろ地上のことも教えてくれりゅかな?」
「ああ、何から話そうか…」
こうしてサラキアの部屋を何度も行き来し、お互いの話をした。お互い転生者ということもあり、たまに地球での話も出たりした。打ち解けるのに時間はかからなかった。
そのうちサラキアも僕と同じ日本人だと知ると、彼女が誰だったのかに凄く興味が湧いた。
きっかけか…
色々考えた末、今現在サラキアにかかわり生きている者を召喚すればいいという結論になった。召喚をするにあたり宮廷魔術士にしか許可が下りないそうなので、それから1年鍛えに鍛え宮廷魔術士の資格を獲得した。
召喚の名目はこうだ。
「地下都市には魔王という強大な魔族がいる。いつ地上に進軍してこないとも限らない。それに対抗出来る者を召喚しよう。」
まあ、実際呼び出すのはサラキアの関係者だが。
その作戦がうまくいき呼び出すことが出来たのだか、呼び出す座標を間違え行方不明になっていた。




