10.5話
10話の書き足しです。
外にでるとすでに日は落ち真っ暗だった。
『ライト』
さすがによくみえないので、まだ狭い範囲しか明るく出来ないが魔法を使用した。
右のほうで物音がする。振り向いてみると可愛らしい少年がゆっくりと近づいてきた。
…あれ?ダンジョンの入り口であった子だ。
少年は目の前まで来ると足を止めた。
「先程ぶりですね。私はルージェ王都、宮廷魔術士のテンタチィオネと申します。」
「ルージェ王都?」
「はい、ここより北に位置する王都になります。」
そういえばここの町しか知らなかったわ。
「ここでは目に付きます。人気の無い場所でお話をしましょうか。」
「では中にどうぞ。」
『ディメンションウォール』の中に招き入れることにした。
とりあえず座ってペットボトルを差し出す。
「クラスタから聞いてはいたが本当だったんだな。」
人目がなくなった途端にテンタチィオネの口調が変わった。その目はペットボトルに注がれている。クラスタは終始無言だ。
「さて、クラスタからどこまで聞いてる?」
「何も?幼馴染ってくらいかな?あとは僕と同じく異国の食べ物をドロップするとかくらい。」
どう言うことかとクラスタのほうを見る。目を逸らされてしまう。
「……お仕置きが必要かな?」
そう言った瞬間、クラスタは外へ逃げた。
「ちょっと捕まえて来るから話の続きはそのあとで。」
テンタチィオネも後に続いて出て行ってしまった。二人の関係が少し見えた瞬間である。
少しすると二人は戻ってきた。どことなくクラスタはボロボロだ。
「待たせたね。では本題に入ろうか。」
「はい。」
テンタチィオネは水分を補給してから話出した。
「うすうす気づいていると思うが私は転生者だ。前の世界での記憶を持ちそれを生かし冒険者をしていた。記憶を取り戻したのは5年ほど前の5歳だな。」
……ん?と言うことはまだ10歳?
「ふむ。やはり転生者なんですね。」
「ああ、それでもちろんダンジョンに挑んだわけだ。」
テンタチィオネはその時のことを語りだした。