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さんじゅうきゅうこめ。
彼女は乾いていたのだ
目の前で動く彼女は
肌が透けていた
水分が足りないんだろう
自分が持っていたペットボトルに入った水を
彼女に差し出す
首を横に振られた
拒否されたのだ
だが彼女のその肌が忘れられない
彼女のために何かできないだろうか
何か、何か
探し回った後
私は自分が持っていたペットボトルを
空中に投げた
広がってゆく水特有の淡い色は
彼女と私を包むように
雨のように洪水のように滝のようになった
ざぱぁっ
水が滴る
寒いと感じながら
私は彼女を抱き寄せた
「ばいばい」




