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さんじゅうさんこめ。


「泣いてもいいんだよ」


そう言われたのはいつだったか

思い出せない

思い出せない


宇宙の中を

ゆらりゆらり

どれだけ足に力を込めても

前にも後ろにも進みはしない

ただゆらゆらと漂う姿は

意志を持たない海月のようだ


「痛かったら痛いって言って」


そう言われたのはいつだったか

思い出せない

思い出せない


「これは痛いって言うんだよ」


ああ


指の先から赤い液体が

宇宙に向かって飛んでいく


「泣けばいいのに・・・」


泣いてるのはきみじゃないか

こっちにおいで

だっこしてあげるよ

そう言うと


「まるで僕が子供みたいじゃないか」


と拗ねて私のほうを見る


泣かないで

君が泣くと

僕も泣いてしまうよ


「じゃあ早く泣いてよ」

「君が溜め込んだ涙を」

「残さず飲ませておくれよ」


目を彼の方に向ける


ぽたりぽたり


落ちた涙は誰の涙?

落ちた涙は私の涙


「ようやく泣いたね」


彼は笑顔でそう言った

なんだ嘘泣きだったのか


ぽろぽろ溢れる涙は

宇宙に海を作り出す

彼はストローを軽く噛みながら

その涙を飲み始めるんだ


ありがとう


「もっと泣きなよ」

「これだけじゃ喉が渇いて仕方がない」


二人で笑って泣いて

夢にサヨナラ

また明日

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