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さんじゅうにこめ。
嗚呼、身体が重い
何かが自分の体に
棲み付いてしまったようだ
其処は居心地がいいのか
全く出て行ってくれない
遠くから
親しい者たちの声が聞こえる
どうやら喧嘩のようだ
大きな声は
宙を舞い
床を抜け
壁を避けて
僕のところまで届く
五月蠅いよ
そう言っても
彼らは全く聞いちゃくれない
嗚呼、この喧騒の中
僕は身体が重いと
真綿で出来た雲の上に寝転がった
だんだんと
蝕まれていくのは
こころか
からだか
そんな区別もつかないまま
僕は灰色の空に
身を差し出した




