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にじゅうさんこめ。
隣の魔物が言葉を紡ぐ
「嗚呼頭が痛いし心臓も痛い」
痛い痛いと言葉を紡ぐ
僕はその言葉を
銀色の鋏で切ってゆく
ちょきんちょきん
ちょきんちょきん
切ってゆく
だが魔物は絶えず言葉を紡いでゆく
「痛い痛い視線が痛い心臓が痛い」
ちょきんちょきん
「他人が痛い自分が痛い」
ちょきんちょきん
「腕が痛い足が痛い目が痛い心が痛い」
ちょきんちょきん
ちょきんちょきん
「もう治ってるのにね」
魔物を蔑んだ目で見る
僕は銀色の鋏で切る
ちょきんちょきん
魔物を切る