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じゅうにこめ。
霧のかかった中
鳥居が立っている
白く濁ったような視界の中で
目にとらえたのは鳥居より大きな人
直感的に神様だと思うその人が遠くのほうで
僕を呼んでいる
「早くこっちに来なさい」
「君にいいものをあげよう」
目が痛い
目が痛い
神様が持っていたのは
綺麗な綺麗な蒼い目
「それを僕にちょうだい」
「いいとも」
神様は快くその眼をくれた
だが神様は続けてこう言った
「その代わり」
「君を貰ってもいいかい?」
「いいよ」
身体に鎖
目に契約
もう逃げられない
逃げたくない




