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いっこめ。
目を開けるとそこは水の中だった
水族館でも見る事の出来ないような色とりどりの魚達が目の前を泳いでいく
僕は口を開けて、肺の中一杯に空気を取り込む
ここは水の中
此処は夢の中
目の前の魚は自らの持つ鱗の色を次々と変化させては
水中を、空中を、自らの世界と言わんばかりに主張し泳いでゆく
ふと上を見ると
大人になったくじらが大きな羽を広げて空を飛んでいる
そのくじらの近くにいた
子くじらの背中に乗って僕も空を飛ぶ
空気が気持ちいい
風がひんやり冷たくてとっても眠くなってきた
あ、
バランスが、
崩れちゃった
どっぼーーーん
大きな音がした、頭から海に落っこちた
僕の周りを跳ね回る水がきらきらと光を反射し輝いている
これで今夜はおしまい
また会おうね、くじらさん