四つ目のお話「七夕」
「さーさーのーはーさーらさらー!」
丑三つ時
星が綺麗な瞬くこの時間、七夕の歌を歌う声が音楽室から聞こえてきた
そこには、白い猫のような男の子 ロロとセーラー服の少女 生、そして白衣を着た人体模型 人がいた
「七夕にちゃんと短冊書いて笹に吊るすって、樺沢らしいよな」
音楽室に飾られている笹を眺めながら人が言った
樺沢高校が有名な事の一つ、行事が充実していること
当然、七夕もこの行事の中に入っているわけで、今日は学校全体で七夕ムードだった
「……」
「って、聞いてんのか?」
人が隣を見ると、鬼の顔をした生の姿が
スマートフォンを手に持っているのでゲームをしている様子である
物凄く集中していて、話しかけても返事をしなかったようだった
その様子を見て、相変わらずだな…と呆れる人
ロロの方を見ると、何故か短冊をどこからか持ってきた画用紙で作り、願い事を書いているようだ
「何書いてんだ?」
そう言って、ロロの短冊を覗いてみるとそこには【アィス、ぃっぱい、食べたい!!】と拙い文字で書かれていた
ロロらしいと思っていると、今度は生が短冊を書き始めていた
ゲームはとりあえず休憩らしい
自分も書こうか、と考えていると「出来た!」と自慢げに笑う生の声が
「お前はなんて書いたんだよ」
「ふっふーん、これだ!」
自慢げに水色の短冊を見せびらかす生
そこには【☆6のリイ様となこ様がきますように!】と書かれていた
「……お前らしいな」
色々飲み込んで、これだけ言った
「あっ、書き忘れてた!
ロロたん、もう一枚!」
「はい!」
「いや、何枚も書くのかよ!?」
え、何当たり前の事言ってんの?と真顔で、真顔で(2回目)生が言った
いや、何個もしたら叶わねぇだろ
そうつっこもうとしたが、楽しそうにしていたので言うのはやめておいた
「……よし」
緑色の短冊に願いを書いて、笹の葉に吊るそうとする
まあ、多分、これが一番まともだろ
そう考えて書いた自分の願い事
在り来りで、面白くもなんともないがこれが一番俺らしいか
「あんた、なんて書いたの?」
生が俺に聞いてきた
二枚目の短冊も飾ろうとしているようだ
【七夕イベ、走りきるぞ!】と願いでもなんでもない言葉と、キャラクターの絵と思われるものが描かれている
「内緒」
そういうと、うわあ、気持ち悪い
と凄く嫌そうな顔をされた
失礼だな!
ロロは飽きたのか何なのか、もうおねむのようだった
「……ま、なんでもいいだろ」
「ふ〜ん」
人が理科室に戻った後、生は人の願い事を見てみた
緑色の短冊には【理科室でもっと実験ができるように薬品が増えますように】と書かれている
そして____
「……在り来りだなあ」
小さく、とても小さくだが【この日常が続きますように】と書かれていた
遅れて七夕ネタ




