33話
「すみませんでした!」
「ムー!」
僕は、床に跪くように、椅子に座るエリスに向けて土下座した。
エリスは不満そうな顔で、頬を膨らませながら怒っている。共同してる生徒とは知らなかった。
先ほど、部屋に入った直後、風呂上がりのエリスを目撃し、僕は頭の頭にデカいコブが出来ている。
「どうしてヨシノが、私の部屋にいるんですか?」
「それはコッチのセリフだよ。この二階は男子専用なのに、なんでお前がいるんだ?」
エリスがどうして学生寮・2号館の二階の男子専用の部屋にいるのか、僕は真剣な顔で話をする。
「部屋ですか? 私はタダ、この部屋を特別に借りていますわ」
「特別?」
エリスは落ち着きをした態度で、全て説明を始める。
「私の部屋は、三階にありますわ」
「どうしてこの部屋にいて、男子専用の二階にいるんだ?」
「何故か、三階の女子専用は、修復作業の為に、この部屋に来ました」
「何?」
「それはですね、三階の女子専用の廊下辺りの壁が壊れて、修復作業の為に、立ち入ることが出来ません」
エリスは事情を話すと、2号館の三階の女子専用で、壁を修復する貼り付け作業の影響で、終わるまで立ち入ることが出来ない。
「それで、なんでこの部屋にいるのか話してくれ」
「他の女子生徒は、女子寮に住む友達、あるいは姉妹で居候しています。私は泊まる事が無理ので、寮長たちに頼んで、この部屋を借りる事になりましたわ」
他の女子生徒は、別の女子寮に住む友人、または姉妹など、修復が終わるまで泊まっている。
ところが、友達のいないエリスは、寮長に相談をして、2号館の二階にある奥の空き部屋を、特別に泊まらせた。
「そうか……あの寮長めぇ~」
美人寮長の奴、僕をまんまと黙ってエリスがいることを、口を慎んでいたんだ。
「許可した人がいますわ」
「許可? 誰なんだよ?」
誰だよ、エリスに無理矢理、男子専用の部屋を泊まらせる輩は。勝手な行動は許せない。
エリスは覚悟を決めて、その許可を取った人物を語った。
「理事長です」
(あのロリ巫女め~)
ロリ巫女理事長……わざと僕を利用したな。エリスがいるこの部屋を実験するとは、おかげで頭にデカいコブが出来ちたよ。
「理事長……なんで悪戯好きでしょうね」
「同意!」
「それにヨシノ、もう床に跪くのはよして、椅子に座ってください」
「わかったよ」
床から立ち上がろうとしたら、足は少し痺れて、ガクガクと震えながら、エリスの隣にある椅子に座った。
「さてと、話に戻しますか。理事長と寮長に騙って部屋を借りて、それで僕の一緒の居候になるとは、相変わらずマイペースだよな」
「申し訳ございません。私が気づかず……」
「イヤ、エリスが悪いんじゃないよ。僕も知らなかったよ」
「そうですわね」
僕とエリスは、同じ部屋で一緒になるのは知らなかった。
修復作業が終わるまで、二人きりの個室、まるで夫婦みたいだ。
「これからどうするんだエリス?」
「うーん」
「修復が終わるのに、何日かかるんだ?」
「一週間です」
女子専用の三階の修復が終わるまで一週間は長い。
一週間もエリスと一緒になるとは。
「大丈夫ですわ、私なら耐えられますわ」
「エリスはいいけど、僕は大変な気がする」
「どうしてですの?」
「それはだな、男子に見られたな……ヤバいかも」
「あっ……」
ここは男子専用の部屋だ、女子と同居だと、2号館の寮どころが、学園中に噂になってしまう。
「男子に見られるのは……ヤバいかもしれません」
「そうかもしれないな」
「でも、女子寮の部屋は借りられませんわ」
「そうかい?」
それは大変だ。女子寮の部屋が借りられないとは、エリスは何処で泊まればいいのか。
「悪いですけど、ヨシノに迷惑になりますので、私は教師の寄宿舎にー」
「いいよ、そのぐらい」
「ヨシノ?」
「三階の修復作業が終わるまで、我慢するよ」
「えっ?!」
このままだと、エリスを野宿をしていたら可哀そうだ。女の子を追い出したら、カッコ悪いだろう。
一週間なら我慢できる。
「いいんですか? ヨシノ?」
「大丈夫、女の子を追い出すのは可哀そうだから」
「ヨシノ……」
「だから部屋にいてもいいぞ」
「ヨシノ」
エリスは、嬉しそうやら泣きそうな表情で、パアーとした顔をする。
「ありがとうございます! ヨシノ!」
「ウワッ!?」
エリスは号泣しながら、僕に近づくように抱き着いて、礼を言う。
あまりにも驚きで、椅子がガクンとし、僕とエリスは倒れ込んだ。
「もういいから落ち着けって」
「そうでしたわ。瓶を投げた罪の……お許しを」
「わかったから!」
今度は謝罪かよ。さっき僕が部屋に入った直後、風呂上がりのエリスが裸のままで出歩いて、悲鳴を上げながら瓶を投げた事だ。
そんなに謝らなくてもいいよ。女の子にとって誰だってやるよ。
二人で一緒に立ち上がり、するとお腹が急に……
「それにしても、お腹すいたな」
「私もです」
まだ夕食を食べていなかったな。お腹の虫が鳴っている。
「食堂でも行くか?」
「それは名案ですけど、食堂にいる料理人は、急用でお休みです」
「そうだったか?」
2号館の学生寮の一階には、ロビーだけでなく、食堂も設置している。学生をお腹を満たす為に、朝・昼・晩などのご飯を作って食べられる。
寮長と一緒に通りかかるロビーにある食堂から、〝定休日〟という文字が書かれていたよな。今日はやっていないのか?
どうやら、2号館寮の食堂がやっていない場合、他の学生寮の食堂で済ますか、外出して町のレストランで食事、あるいは商店で食料を買い出しに行っているだろう。
「この部屋に食べ物はあるのか?」
「確か……台所の棚に、非常食のインスタント食品がありますわ」
「それにしよう。僕が取ってきてあげるよ」
「お願いします」
台所のところへ向かうと、椅子で一番上の棚のドアを開き、中から缶詰やカップ食品などのインスタントが大量に置かれていた。
「僕はカツライスで、エリスは?」
「私はシーフードパスタを」
「これか」
二つのインスタントカップ食品を、棚から取り出して、台所の洗面所で、お湯沸かし器で水を入れる。
「お湯沸かすよ」
「ご苦労様です」
「どういたしまして、じゃあ、カツライスは電子で温めますか」
電子ガスのスイッチを入れて、お湯を沸かす。
インスタントカツライスを、大きい電子レンジで温める。
かなり時間が掛かる。終わるまでテーブルの椅子に座り、エリスと一緒に会話をしようとした。
「それにしても、寝室もあるのか?」
最初は寝床を話す。ベッドが一つしかないのなら、居間のソファーで寝るのなら大丈夫だ。
「はい。ベッドが二つあります」
エリスは素直に答えた。二つあるならラッキーだ。
「大丈夫だな」
「ええ、二つとも寝室にありますわ」
「はい?」
寝室にベッドが二つ、それってつまり……
「まさか……一緒の部屋なのか?」
「はい……」
なんだか、嫌な予感がするぞ。
不安になりがちで、胸がドキドキしそうな感じだ。
「一緒に寝るのか?」
「ええ……」
僕とエリスは何も言えない状態だ。
「「えええええええ!!!!!」」
二人で一斉に、大声を上げて驚いた。
すると、台所から物音が聞こえた。
電子レンジの保温の終了と、お湯沸かし器で、お湯が沸いた。




