ソーラー学園生徒会
「何? 暴力佐太だと?」
『はい⁉ それが例の不良グループが?』
「あのたわけどもめ……それで? 状況は?」
私は薄暗い室内で、会議中に掛かって来た電話に出ると、画面越しに映ったのは風紀委員の女子からだ。
椅子に腰を掛けながら、私は慌てる風紀委員女子生徒に通話をした。
それは……今日の放課後で、問題行為の通達だ。
「問題行動とは一体、何をしでがしたんだ?」
『はい。不良生徒達は、また生徒に恐喝を起こしましたので、そこで一人の男子生徒が止めに入ったんです』
「怪我を負ったのか?」
『いいえ……そうではありません』
「ならなんだ?」
『怪我をしたのは……不良生徒全員です⁉』
「何? それって本当か?」
『全員ベッド送りになるほど、重傷です』
あの不良どもが満身創痍だと、こんな事は、初めて聞いたぞ。
奴らが怪我を負った原因はなんなのか、気になって電話の相手の女子に話付ける。
「そいつ等は怪我を負っているだろう。一体何処にいるんだ?」
『はい。彼らの怪我は、顔面、手足の骨折、身体中に傷だらけの状態で保健室に搬送されました』
「そうか」
相手の少女から聞くと、不良たちの顔は、変わるほどに殴られ。保健室で医学クラスの生徒から治療を受けていた。
それにしても、一体不良たちをこんなにボコボコな腫れた顔したのか。こんなことしでがすのは、あのバカ教師しかいない。
「それで……問題を起こした奴はどうした」
『連行しました。今は反省室で取り調べしています』
「そうか」
その問題を起こした生徒は、駆けつけた風紀委員にすぐ様連行し、今は取り調べを行っている。
一体どんなバカが、暴力佐太を起こしたのか、私はその生徒の事を話した。
「名前または中等部か高等部……男子か女子なのか、詳しく話せ」
『中等部の男子生徒です』
「中等部が問題を起こすのか?」
『しかも彼は今日からこのソーラー・学園に転入してきた少年です!』
「なんだと!?」
そう言えば、隣に置いてある転校手続きの資料と、さっき理事長から聞かれたことがあった。
‟おもしろい輩がおるぞ、あのバカ者と共に歩んでいたぞ。とてもおもろいやつじゃ〟
……と謎めいた説明を聞かされた。
あの馬鹿者とは……デウス教師の事だ。
私がひねくれヤンキーだった頃、昔はよくデウスと喧嘩したな。とてもいい先生だった。
「それで……奴の名前は?」
『名前は……ヨシノ・オオウチです』
「オオウチ?」
電話越しを耳に通し、そのオオウチという人物、どこかで聞いた事あるような……ないような、
(思い出すのは、また今度にするか)
『話は以上です。申し訳ございません。今は会議中でお急ぎだったでしょうか?』
「気にするな、問題の報告ありがとう」
『はい……ごきげんよう』
女子生徒は別れの挨拶をして、レンズ越しの映像はプツンと途切れ、コールアウトのボタンをタップした。
「とても大変な奴が、この学園に来てしまったな」
レンズから写り込む転校生ファイルをクリックする。
今日の転入生の顔写真を確認した。
右は赤毛と左は白髪を混じったハーフの少年である。
「そうだろう……みんな」
室内から明かりが点灯し、目の前にはテーブル席に座る4人の女生徒の姿が並んでいた。
これが我ら、ソーラー・学園生徒会である。
「生徒会長! 例の転校生について質問してもよろしいですか」
最初に声を掛けて来たのは、赤毛のショートカットをした、アリス星人の女子生徒が声を掛けて来た。
「何が言いたいんだ? キキョウ?」
キキョウ・アケチは、生徒会副会長を務めている真面目な女生徒だ。アタシのイジられキャラみたいな奴だ。
少しは弱気な性格もあるけど、彼女の掛けているメタルツーポイントラウンドフレームのソーラー・グラスを愛用している。
「彼は前の学園で問題を起こしています」
「それがどうした?」
「何故あんな輩を学園に入れるのですか?」
「それは、適合者になった以上、転校するしかいかないだろう」
「彼は問題児ですよ! 先ほど連絡した女子によると、不良グループ全員、重傷ですよ‼」
「それが言いたいのかい?」
「はい」
確かに、キキョウの言う通り、あの転校生のオオウチという男子生徒は、かなり厄介者だ。
情報からによると、前の学園で暴力佐太を起こし、何度かの停学処分、何十人以上の不良とチンピラを病院送りにした。
詳しい情報は、全くつかめていない。
「まあまあ、キキョウちゃんったら、少しは落ち着いてよ」
「何が言いたいのよ! ハシバ‼」
キキョウの隣に座る、背は小柄なアリス星人で、赤毛のサイドツインテールと、四角い眼鏡を掛けた女子生徒だ。
彼女はキリヨ・ハシバ、私の付き人兼幼馴染である。彼女は生徒会庶務を務める。
「あの少年って……面白い人だからいいじゃない」
「何が言いたいのですか!」
「だって……彼は私と同じ背が低く、しかも……美男子じゃない」
「それは関係ないでしょう!」
相変わらず、キリヨはマイペースな態度だよ。
私の一番のお気に入りで、私が幼い頃からキリヨとずっと一緒だ。つまり、腐れ縁ってやつだ。キリヨをよく〝サル〟と呼んでいたな。
キリヨは木登りが得意から、私があだ名でサルと呼んた。
全く関係のない話を持ち込まれて聞いたキキョウに叱られるキリヨ。
「それにしても、彼は何者でしょうか?」
質問をしてきたのは、腰まで伸びたロングヘア―な赤髪をしたアリス星人、背が高く、巨乳でスタイル抜群、温和な顔付き、眉毛が少し太く、桃色の唇をしている。それに黒い丸型のソーラー・グラスを掛けていた。彼女は大和撫子風な女子生徒である。
私のライバル、ヨシカ・イマガワ、生徒会書記を務めている。
ヨシカとは私のライバル、二年前の選挙戦・オゲハザマ大会で、誰か生徒会長になるのか、一騎当千のように対決した。
イマガワの支持する人間と、私の応援する連中と共に戦い、一騎打ちで圧勝した。
私が現・生徒会長を後任として決められた。
「オイオイ……イマガワ? 加害者の事を知っているのか、知らなそうに見えるけど?」
「なんですかその態度は! 私はあなたの事を負けだと認めませんからね‼」
「またそんな話か、相変わらず負けず嫌いだな」
あの〝オゲハザマ〟でのことを負けて悔しかったのか。生徒会書記に当選したなら、ありがたく思いなさい。
「みんなわかったよ。オオウチって人物、聞いた事があります」
「マツダイラもか?」
手を上げて来たのは、生徒会会計のアオイ・マツダイラ、イマガワの付き添い兼メイドとして、奴と共に行動している。
三つ編みな赤毛をしたアリス星人、しかも学園の制服ではなく、着物みたいな袴を着用し、草履など履いている。赤い丸縁のソーラー・グラスを掛けている。
マツダイラは、その問題を起こした少年を知っている。
「彼は元・アリス星大企業・オオウチグループの御曹司です」
「「オオウチグループ?」」
「思い出したぞ。アリス星企業のオオウチグループか」
父が生きていた頃、パ―ティーでオオウチグループと何度か会った気がしてきた。
よく昔の事を忘れるなんて、少しは状況を考えないといけないな。
「確か……あの事件でクループが解散したと?」
「例の事件だな」
「事件って……虐殺放火事件ですか?」
「そうだ」
7年前の昔に起きた出来事、オオウチグループの会長の誕生日パ―ティーの最中に、何者かによって、家族と親族や会社の社員が無残に殺され、会場は火の海と化し、百数十人以上が亡くなり、あの事件は全ソレール系で広まった。
生き残ったのは、親族やその社員の子息だけが助かった。
「生き残りの子供たちはどうした?」
「それは、事件性の当日、無事に保護した直後に、親戚または義理の家族に養子として引き取られました。何人か適合者として、この学園に通っています」
「何故オオウチ家の息子がこの学園に?」
「それがですね、諜報科クラスが、彼を保護した医療施設のリストを調べたところ、引き取った輩が、が重要な人物だと思われます」
「重要人物? マツダイラ、誰なんだ」
「はい。ヨシノ・オオウチを引き取り人は、元ソーラー学園体育教諭の……デウス先生です」
「「「なんだって!」」」
「デウスだと!?」
ヨシノ・オオウチの引き取り人が、我がソーラー学園の元教師のデウスとは、
あの事件直後に、学園から姿を消したデウスが……
まさかあのバカ教師が、両親のいないオオウチを引き取ったのか。アイツ……奴を無理やり地獄の特訓を突き合わされたに違いない。多分、それが原因で、不良たちはボコボコにするとは。
「ヨシノ・オオウチがデウス先生と共に生活は……言えないな。多分、喧嘩をした時も、鬼みたいな感じでしょうか?」
「それは……本人に聞かないと」
「けど、本当にデウス教師の知り合いなのか?」
それが一番の問題だ。あのデウスに引き取られ、一緒にいたオオウチは、彼女の行き先と目的は何なのか、直接本人に聞きださないといけないな。
「あの、生徒会長」
「どうしたアケチ?」
近くにいるアケチは、謎めいた顔で、私に話しかける。
「そういえば、彼の転校任務を成功した生徒がいます」
「本当かアケチ⁉ 誰だソイツは」
「中等部の女子生徒……エリス・ザビエルです」
「エリスちゃんが?」
「あの黒い髪をしたシスターが?」
あの中等部女子生徒シスターが、アイツは宗教団体のアースラー教の信者だ。
それにアイツは、あのオオウチの転校任務を含めていたな。
しかも、転校初日にエリスと同じクラスになっているとは、転校生のクラス一覧に書かれていた。
「それなら、エリスちゃんと一緒に聞き出すのは、どうですか?」
「それは名案だ。任務遂行した奴なら大丈夫だ」
あの黒髪シスター(エリス・ザビエル)なら、転校生の少年の事を聞き出せるかもしれない。
「全員……エリスに聞き出すのは、賛成か?」
「「「「賛成!」」」」
全員、賛成の意見を返事した。
「では、会議は以上だ」
私と前にいる生徒会全員、椅子から立ち上がって起立した。
「今日のソーラー学園生徒会会議を終了する。みんな……ご苦労」
「「「「ご苦労様です。オダ会長!」」」」
「有無」
四人の生徒会女子生徒は、大声で号令をする。
私、ノブナ・オダは、このソーラー学園生徒会長でありながら、頭の上から、愛用であるカラーソーラー・レンズのディアドロップ型の、ソーラー・グラスを顔に掛ける。




