学園の案内
学園の案内です
「もう安心ですわ」
「そうだね」
辺りは少し暗闇の中、無事にクラスの連中から逃げ延びた。
「何故僕達……テーブルの下に隠れるんだ?」
「仕方ないでしすわ。忍者みたいでカッコいいでしょう?」
「聞いてねー」
僕とエリスが隠れている場所は、中等部校舎の一階にある食堂(あるいは休憩所)の丸いテーブルの下だ。
エリスと一緒にクラスメイトから逃れる為、通りかかった食堂にあるテーブル席の下で身を隠した。
でも、こんなに小さいテーブルですぐにバレるかと思いきや、クラスメイト達は目の前にあるテーブル席の下で隠れる僕とエリスを気づかれず、そのまま立ち去って行く。
クラスの奴ら本当に気づかなかったな。
「クラスの奴らはいないぞ、出てもいいかい?」
「そうですわね、もう出ましょう」
頭上にぶつからないように注意して、テーブルの下に出て来て、態勢を整いてを立ち上がった。余程身体中に傾くほど筋肉痛になりそうだ。
「それにしても……ここにいる人間って多いよな?」
「ええ……放課後になると、ここで勉強と課題をする生徒もおられます」
エリスから話によると、この食堂兼休憩所のエントランスでは、勉強などの復習する生徒もいた。テーブル席で友人と一緒にいる集団や、あっちのカウンター席では、一人で勉強や読書を楽しむ奴らもいるそうだ。
「それで、学園を案内するのか?」
「はい」
「とても大きいぞ」
「大丈夫ですわ」
エリスはスマイルな顔付きをしながら指を突きつける。マンモス校を一周するのか?
でも、一度なら学園を見て行かないといけないな。
「エリス……案内は大丈夫なのか」
「失礼な! 私はこの学園に何年も通っていますのよ」
「そうか?」
エリスはプンプンとした顔で頬を膨らます。何年もソーラー学園に通っているよな。不謹慎な事言い過ぎたかな。僕は仕方なくエリスに謝った。
「ごめんよエリス」
「いいですわヨシノ」
「そうだな、なら……早く案内してくれ」
「ええ……門限までには案内します」
「門限ねえ……」
今は夕方に近く、日差しと空が赤く染まっている。時間厳守まで寮に戻らないといけないな。
「早く行きましょう」
「おう」
「ここが、ソーラー・グラスの具現化した武器と、発動した能力を試す訓練所か?」
「はい」
まず最初に訪れたのは、学園でソーラー・グラスの武器や能力などの実技を行う訓練ドーム、僕とエリスはその構内に入っていた。
「色々あるよな?」
「はい」
「リアルだけでなくⅤRもあるのか?」
「そうですわ」
周囲のドームには様々な訓練をする場所がある。
左から草木が生えている訓練所が設置していたり、右からⅤRルーム、リアリティーな感覚で訓練を受けやすくする為なのか。
「あっちは射撃所の訓練もあるのか?」
「はい。銃の所持に必要な時には、射撃の訓練も備えないといけません」
もしもソーラー・グラスの武器が出なかった場合に必要か、一人の生徒が銃でターゲットらしい物で発砲している。
一人の男子生徒がソーラー・グラスで具現化した銃らしい武器で、ターゲットらしい物を発砲している。
「アイツの銃の構え方が違っている。これじゃあ外してミスになるな」
「ヨシノは銃とか詳しいですか?」
「お師匠様に教えてもらった経験が」
「デウス先生ね」
「お師匠様と一緒に射撃の訓練を励んでうまくなりました」
「それはよかったですわ」
お師匠様であるデウスに、銃の所持の仕方を教えてもらったり、撃ち方と構え方、それから組み立ても教わった。
それに一つだけ気になっていたのは、対決で実技を行う生徒もいる。
「ゲームみたいに勝負する実技も行うのか?」
「対戦勝負を行いますわ」
「決闘対決する実技だけでなく、試合や大会を行っているのか?」
「ええ……この学園で年に一度行われるソーラー・グラスにおける大会が行われていますわ」
「大会まであるのか?」
エリスの話によると、この〝ソーラー学園〟で年に一度、大会が開催される。
色々な学科の生徒と対決し、ソーラー・グラスの適合者がどれだけ強いのか、力試しを確かめているみたいだ。
「それでは、次へ行きましょう」
「次は何処へ?」
「外です」
「外でも実技を行うのか?」
「はい。ソーラー・グラスで頼らず、自分で鍛える人たちもおられます」
次に訪れたのは外だ。学園で最も〝広い運動場〟と言われている校庭だ。
ソーラー・グラスの発動する能力や武器の具現化だけでなく、自力で筋トレをする生徒も多くいる。このグラウンドで特訓や体育の授業、運動をする生徒も多くいた。
今は放課後の時間、生徒達がグラウンドで一周してランニングしている。
真ん中のグラウンドからは、体育用具で訓練をする生徒もいた。
「能力と武器で頼らずに、自分の力で鍛える奴らもいるのか?」
「ええっ、あなたと共にいた問題教師のデウス先生から地獄の特訓の授業は……もうありませんか」
「ウウッ……お師匠様ったら!」
お師匠様……本当に出会う前に問題教師扱いとは、よく生徒達に無理矢理特訓をさせるのは程々にして、そういえば風紀委員の高等部のゼニガタ先輩も、酷い目に合わされたって聞いたな。
今はお師匠様であるデウスは、僕を保護するために教師を退職し、その授業はもうなくなっていた。
「ヨシノはデウス先生と一緒に、修業を励ましていましたよね?」
「もちろん。よくお師匠様に厳しい特訓に付き合わされたよ」
僕がエリスと出会う以前の昔に、お師匠様と一緒に放浪の旅に出て、修業をする為に山籠もりしていたな。大岩で数百回の腕立て伏せに、お師匠様の格闘・護身術を何度か教わった。
それでお師匠様のおかげで、僕は強く生き続けた。
「それにしても、走るだけで汗かくよな」
「ランニングをしている方々は、元々スポーツを習っていましたわ」
「そうなのか?」
「ここにいる生徒は、前の学園でスポーツを活躍していました。ソーラー・グラスの適合したおかげで、彼らは引退する羽目に」
「なんだか可哀そうだな」
「しかし、適合者になった直後、スポーツと同じ道具が武器として具現化になりますわ」
「本当か?」
「本当です」
「つまり……体育系タイプだな、戦闘状態になった場合に、ソーラー・グラスで具現化した武器がスポーツの道具だったり、その能力が発動するのか?」
「はい」
運動場でトレーニングをしている生徒の多くは、前の学園で活躍した体育系の選手だった生徒も少なくない。
聞いた事ある。ソーラー・グラスの適合者になったスポーツ関係の体育系の人間は、ソーラー学園に転校した際に、
今活躍するスポーツが出来なくなってしまう。それは悲しい運命だ。
ところが、ソーラー・グラスが適合者になった場合、武器がスポーツ用具と類似して具現化する。
「みんな頑張っているよな、能力だけでなく自力で鍛えるとは」
「ヨシノさんが感心するなんて」
「まあ、僕も同じだよ」
「そうですね、次へ行きましょう」
「今度は何処へ?」
「ソーラー・グラスのフレーム工房ですわ」
「工房?」
次に訪れたのは、鼻の奥から薬品と貴金属性の匂いが満載していた。
「ここって……ソーラー・グラスの?」
「はい! ソーラー・グラスのフレームが作られている工房ですわ」
僕が知るソーラー・グラスのフレームが作られている工房、ここに置いているフレームは大量に生産がされている。
外装は倉庫みたいな建物で、エリスと一緒にいる内装はいくつかの作業部屋が多く、それぞれの場所でフレームを製造している。
「ソーラー・グラスのフレームを、この工房作られているのか?」
「はい。生産だけでなく、自分だけの好みの形をオーダーを依頼したり、壊れたりした場合には、メンテナンスをして、ちゃんと修理してくれますわ」
製造だけでなく修理もしてくれるのか。
ソーラー・グラスのソーラー・レンズがヒビが入って割れたり、テンプルのすじのネジが外れたりした場合、工房に持ってきて修復してくれる。
アッチから丸いソーラー・グラスを掛けたアリス星人の男子生徒が、椅子で座りながらフレームのデザインを測ったりしている。
箱が置かれる場所で、四角いソーラー・グラスを掛けたジュピター星人の男子生徒が、必要な部品と、素材を確認している。
フレームに大事なデザインと、各惑星で集められた自然や化学の素材で、ソーラー・グラスが製造されている。
「ここにいる生徒達と教師が作るのか?」
「はい。彼らは全員……眼鏡課です」
「眼鏡課?」
「そういえばヨシノ、眼鏡課は知らなかったですわね。彼らはソーラー・グラスの生産や製造をするチームですわ。ここにいる人たちを職人と呼ばれています」
「職人?」
「ソーラー・グラスのフレームを作る人達の事ですわ。一日に一万も生産していますわ」
「一万⁉」
ここサーバタウンは、ソーラー・グラスのフレームのアリス星生産一である。
いくつかのフレームを製造して生産した数は,一万以上だ。
「凄く製造しているよな、職員の奴らは大丈夫なのか?」
「大丈夫です。日にちで担当を決めて製造する事もありますわ」
「決め事が多いよな」
フレーム作りと素材集め、ソーラー・レンズや形などのデザイン要素、職人にはとても大事だ。
サーバタウンとソーラー・学園……恐るべし。
「ソーラー学園……意外に大きすぎるな」
「この学園に必要な施設が建てられていますわ」
「ところで……ここは何処なんだ?」
「はい?」
エリスと一緒に二人で歩きいていると、人気のいない場所である。
エリスの学園について説明を聞いてる途端、いつの間にかこんな場所に来てしまった。
「まさか……迷子になったんじゃないだろうな」
「……」
エリスに話しかけると、彼女は無言のままで黙ってしまった。
「エリスさん?」
「すみません……」
「やっぱりな」
本当に迷子になってしまった。エリスは何年もソーラー学園に通っているのに。
エリスは泣き崩れる程に悲しんだ。
「本当にすみませんヨシノ、私はー」
次の瞬間、謝罪したエリスが言いかけたところで、アッチから凄い声が聞こえた。
「オラー!」
「十点!」
「ヒャア⁉」
「なんだ⁉」
突然ながら荒くれた男の声が聞こえた。
僕は気になって仕方なく、その声の方へ視線を向くと、そこには……不良グループが少年をリンチしている現場を目にした。




