タマとYESとNO
朝玄関を出ると、辺りは薄もやに包まれ、しとしとと柔らかい雨が降っていました。夏の暑さに項垂れていた草花達は瑞々しさを取り戻し、いつもと同じはずの景色はどこか幻想的。涼やかな気温に気持ちは踊り、すーっと息を吸い込みました。すると、鼻をくすぐるのは湿った土の匂い……
——ではなく、突き刺すような鶏糞の匂い。
こんにちは、猫の玉三郎です。どうやら近くの畑は肥料を撒かれたようですね。
ここで突然質問です。
あなたは人から何か頼まれた時、素直にYESという派ですか?それともひとまずNOという派ですか?
社会人になると大抵、先輩や上司から頼まれごとがありますよね。この時、人は大抵2パターンに分かれます。それは上記のYES or NO。玉三郎はよく考えなしに「はーい」と引き受けます。簡単に締切を確認して自分の仕事に組み込み、全体像をそこで掴むんですが、そこで急に「うわぁ、これめんどくさー!」となります。考えが足りませんね。さらに反抗心が微塵もないタイプなのもあって、ほいほい仕事を引き受けます。
反対にひとまずNOという人もいらっしゃるんじゃないでしょうか。タマの職場の先輩に1人、そういう方がいます。タマだったら簡単にうなずくのに、食い下がります。
「それ今しなきゃいけないんですか?」
すぐにはYESと言いません。この方の何がすごいって、自分に少しでも負担が減るように交渉する事です。もしくは代替案を提示するのです。
「ここはこうしたらいいんじゃないの? そしたらこれはする必要ないんじゃないの?」
その代替案がものすごく良くて、現場がより潤滑に動いたりします。そういう問いかけをする事によって、中身が洗練されていくんですよ。タマは割と言われたことをほいほーいと片づけるだけなので、そこまで考えが及びません。尊敬しますぜ先輩。ただその先輩は、一言目がNOなのであまり心象が良くない、もしくは”この人怖い”のイメージが定着しています。なんと勿体ない。
なのでどちらが良いという訳ではなく、両方大事だよなぁと思います。
YESと言いがちな人はNOを。
NOと言いがちな人はYESを。
そういえば「YES MAN」なんて映画がありましたね。ご存知ですか? ジムキャリー主演のコメディ映画なんですが、とにかく主人公が何にでも「YES!」と答えるんですよ。するとそれで今までうまく行かなかった仕事やプライベートが驚くほど良い方向に進みます。恋人だって出来ちゃいます。うっかりNOと言おうもんなら恐ろしい災いが数々降りかかってくるので、主人公もなかばやけくそで「YES!」を連発します。メールの広告にさえ頷きます。本人も戦々恐々です。YESがもたらす痛快さと、同じくもたらす軽薄さを感じた興味深い映画でした。といっても元がコメディなので大抵笑ってましたけどね!
タマは普段なんでもYESと言いがちな人間なので、ここぞという時はちゃんとNOが言えるように練習せねばと思いました。なのでちょっとやってみたいと思います。
「お金貸して」
「いや!」
「買い物ついでに、あれ買ってきてー」
「やーだよー」
「いやあ、玉三郎くん。悪いがこれ頼んでもいいかね」
「申し訳ありませんが他を当たって下さい」
「ケーキ買ってきたから一緒に食べよう!」
「ごめんね、また今度……(動揺)」
「君が頑張ってくれているから、上司に君の昇進を進言しようおもっとるのだがどうかね」
「(愕然)……え、遠慮させて下さい……」
「玉三郎さん、好きです! お付き合いしてください!」
「……ああぁぁーー!!(号泣)」
なんて事言わせるんですか!(泣)
いえ、すみません。取り乱しました。
「NOと言えない日本人」という本が出るくらいですので、我々のDNAにはNOを良しとしない何かが組み込まれているのでしょう。しかし世は国際化社会です。英語圏の人達はいとも容易く「NO」をかましてきます。彼らの自己主張具合は素晴らしいですね。自分は! 自分が! と、全面に自分を出してくるのも悪くはありません。彼らに悪意はないんだから。
日本人の奥ゆかしさは素晴らしいものです。相手の気分を極力害さない物言いも独自に発展していきました。そんな日本人の気遣いは世界トップレベルだとタマは思います。が、それゆえに、人間関係でストレスを抱える人も多いことでしょう。男性なら縦のつながり、女性なら横のつながり。円滑な人間関係築きつつ、自分の意見はちゃんと伝える。これは最近タマが気にかけている事でございます。
相手に気を使ってNOを言えないあなた。時には勇気を以て、それとなく言ってみてはどうでしょう。相手は案外気にしていないかも。そして、ついついNOを言っちゃう天邪鬼さん。素直にYESと言っちゃいましょう。
YES or NO
あなたはどっち?