欲のお話ー食欲
この世には様々な欲がある
人は欲に塗れ、欲に酔い、そして欲に死ぬ
この世には欲で溢れている。もちろん私にも欲がある
ある飲み会で1人の男性がある女子を口説き落とそうとしていた。
『ねえ〜君はどんな男が好み?』
女子は男から目をそらし少し考え込む
『私は美味しい人が好みだよ』
男は嬉しそうに自分に指差す
『じゃあ俺…』
すると女子は男の台詞に割り込む形で言い返す
『貴方は美味しくない』
男の時は止まり、ふと聞き返す
『どうして?』
あからさまな男の作り笑いに女子はゴミを見るような目で言い返す
『貴方、中身が空っぽだもの』
男はそれ以上言い返すことができず俯く。女子はそのまま酒屋を後にした。
帰り道、女子は背後に気配を感じて振り返る
『付いてきちゃったか…』
そこには男が立っていた。顔は暗く手には体を切断できそうな大きな刃物。女子は呆れた顔をする
『そんなに僕に喰われたいなら仕方ないから喰べてあげるよ。だけど…不味かったら残すから』
男はその女子の素敵な笑顔に応じて刃物を振りかざす
『次のニュースです
昨晩某区にて変死体を発見しました。死体は大型生物に食い千切られて霧散しており現在身元の…』
そこで女子はテレビを消す。
シャワー浴びたての濡れた髪をかき分ける。
『昨日のは本当に不味かった…だから喰う気無いってあれ程…』
そこまでいいテレビに釘付けになる
『美味しそう…』
女子は素敵な笑顔を浮かべた