5:100年前 教師だった頃のちび神様
5:100年前 教師だった頃のちび神様
100年ほど昔。ちび神様は、ちび神様になる前は、小さな学校の教師だった。それなりにやりがいも感じていて、自分の生徒を幸せにしたい、と考えていた。実際、教わった生徒の多くは、教師に教わり、新しい世界へと旅立っていった。
あるとき、何をするにも自信が持てない生徒がいた。先生は何とかこの子に自信をつけさせてあげたいと、色々なことにチャレンジさせた。はじめは怖がっていた生徒も、次第に色々なことを出来るようになった。しかし、ある日、その生徒は自信がつきすぎてしまったのが、休日に一人で遊びに出て、うっかり大きな怪我をしてしまった。そして、生徒は目が見えなくなってしまった。生徒の親はとてもその子を可愛がっていて、変な自信をつけさせた教師が悪いと責めた。教師は、とても自分を責めた。
またある時、何をするにも自分勝手で、自信満々で文句ばかりを言っている生徒がいた。何とかその生徒に周りを見る目を持ってもらいたいと、様々な世界を伝え、そして、時には頭を打たせて間違いに気づかせたりした。少しずつ、生徒は謙虚な姿勢を身につけ、人の話に耳を傾けるようになった。しかしその時、その生徒はいじめにあい、人の話に耳を傾けるようになったが為に、沢山の悪口や非難をきくことになった。その生徒は耐え切れなくなって、雨の中家を飛び出し、先生と親が必死に探して何とか保護されたが、数日間、高熱を出した。そして、生徒は耳が聞こえなくなってしまった。「人様に面倒かけやがって」と生徒に怒る親を見て、教師はまた自分自身のことを責めた。
「世界なんかしらなくていい。僕じゃだめなんだ。」と、ちび神様は念を押した。




