2:日照りの夏 古い神様が来て
2:日照りの夏 古い神様が来て
とても暑い夏が来た。雲ひとつない日が続いて、ちび神様の土地には雨がなかなか降らなかった。ちび神様にお祈りしに来た人たちの為にちび神様も頑張ったが、水が枯れないようにするのが精一杯で、雨を降らせることはできなかった。そこで土地の人達は、ボロボロの社の横に、大きくて綺麗な社を建てることにした。そして、有名な神社から古い神様を迎えて、雨乞いをすることにした。
古い神様は、大変な力を持っていたが、とても気まぐれで、とても自尊心が高く、お祈りの仕方や、綺麗で大きな社、供物など、様々なことを指示し、それが守れなかったり、腹が立つと容赦なく人々に天罰を与えた。人々は神様を恐れ、そして、その神様に畏敬の念を持つようになった。古い神様は、雨を降らし、そのうちにその土地の人々は新しい社を大切にするようになった。
ちび神様は、仕方がない、と思った。古い神様は、一仕事を終えた後、ちび神様に気が付いた。
「お前がここの土地神か。貧相な社におることよ」
「僕には丁度よい社なのです。この位の神ですし」
「小さな神よ。神様が人間になめられてどうする。我々は神なるぞ。人々に威厳と尊敬を持たせ、人々を導き、暮らしを守るのが仕事よ。」古い神は、ちび神さまを励ました。
でも、ちび神様は天罰を与えたり、社の手入れをさせたいとは思わなかった。古い神様は、小さな御札を名刺代わりにちび神様に渡して、困ったことがあればその縁の印で呼ぶが良い、と説明した。ちび神様は受け取ると、御札を社の後ろにそっと置いた。勿論、使う気はなかったが、笑顔で受け取る位の社交辞令はできた。




