祐樹達の処遇 1
「梨奈、また会えて嬉しいよ。君とはきっと再会出来ると思っていた。時間と空間を超えて君と再会出来たのは神のご意思に思えてならない」
梨奈は震える指先で祐樹の服の裾を強く握る。議長は手招きする。
「梨奈……来るんだ。来なさい。ゆっくり話をしよう」
祐樹は梨奈を見る。その次の瞬間、彼女の瞳が紫色に光り、彼女は意思を失ったかのように歩きだした。祐樹は慌てて梨奈を止める。
「ちょ、ちょっと待てよ。梨奈。どこに行くんだ」
梨奈は祐樹の手を振り解き、議長の姿が映し出される透明のスクリーンに吸い込まれていった。祐樹は叫ぶ。
「待てよ! 梨奈!」
追い掛ける祐樹をガトゥが制止する。彼は小声で祐樹に話し掛ける。
「堪えろ。祐樹。今、君に抵抗の手段はありはしない。私の渡したモニターを使え。梨奈と議長の会話を目のあたりに出来るだろう」
祐樹は不思議に思い、ガトゥに尋ねる。
「ガトゥさん。あなたは?」
「私も……『時の迷い子』だよ。君と同じだ」
ガトゥはそう囁いて、祐樹に小型のレーザー・ガンを手渡す。
「君が本当に必要な時に、使うといい」
部屋の隅にあったスクリーンは消滅し、最後に議長の声だけが部屋中に響き渡った。
「私の名は、イズー。イズー・マドクルウァ。歴史の支配者。時間と場所の導き手。問題はすべからく取り除かれるだろう。全ては神のご意思のままに」
ガトゥも胸に手を当てると、タイムワープをして消えた。これで白い部屋に残されたのはウィルとオービル、祐樹の三人だけになった。
ウィルとオービルはうなだれ、祐樹も立ちはだかる重い現実の前に黙り込むしかなかった。ウィルとオービルは俯きがちに、事の重大さを噛み締めている。
オービルは何とか取り乱さないようにしていた。ウィルも冷静に話を整理しているようだった。祐樹は白い部屋の片隅にうずくまり、ガトゥから託されたモニターを握り締めていた。




