謎解き 3
「戦争はたちまちの内に広がり、長引いた。一度永遠の平和が築かれた世界に調停役はいなかった。戦争は残虐さを増していく」
議長の話を前にして白い部屋にいる誰もが言葉をなくしていた。議長の声に厚みが増す。
「そして人類は最大の過ちを犯した。放射性物質を持つ爆弾を投下してしまったのだ」
ウィルとオービルは話のスケールの大きさを前にただただ圧倒されている。議長は話を纏めて行く。
「この『爆弾』は人類と自然を徹底して壊してしまった。人々がその過ちに気付いた時には、既に人々の大半は死滅していた」
祐樹達のいる白い部屋の灯が何度か明滅する。議長は組み合わせた指に顎を乗せる。
「こうして勝者なき戦争は終わった。後は全ての過ちを拭う為の新しい秩序が必要だった」
議長は少し希望を見出す。
「そして新しい秩序を形作る有識者の集まりが創られた」
議長は首元を不気味に拭う。
「それこそが、私が議長を務める我々『中枢審議会』だ」
オービルは軽く自分の唇を噛む。ウィルは静かに議長の話を聴いている。議長は話を締める。
「中枢審議会の作った『アゼテリ』は人類を破滅から救いだす『ネオ・ジオ』だったのだ」
議長の言葉には揺るぎない信念があり、彼特有の重厚さがあった。




