未来社会 3
ダデュカとレリュはまるで祐樹達の気持ちを見透かしているようだった。オービルはレリュをはっきりと覚えていた。
オービルは、レリュがあの襲撃事件の犯人だとすぐに分かったようだった。オービルは冷静に、だが少し威圧するように言う。
「君か。あの時の。最早君達が誰だかは問わない。用件だけ聞こうか」
ウィルも動揺する素振りは一切なく、オービルの考えに頷いていた。ダデュカが慎重な口振りで、彼らのこれまでの手法と違うアイデアを出してくる。
「ウィル、オービル両氏への度重なる妨害についてここに謝罪する。お二方には今後、我々に協力してもらう」
「協力? ふざけるな」
オービルが一刀両断する。だが構わずにダデュカは頼む。
「そのためには我々の動機を知って頂きたい。あなた方に同行してもらいたいんだ。了承してくれないだろうか」
オービルは皮肉混じりに辛辣な言葉を投げ掛ける。
「ずいぶん派手な方針転換だな。命を奪おうとしていた相手に今度は協力要請か。何も彼もが思い通りになると思っている。まるで泣きわめく子供だ」
反感を露わにするオービルと対照を成して、ウィルは穏やかに彼らに訊く。
「昼間の騒動、飛行訓練中止の原因はあなた方にあると考えていいのか」
ダデュカは小さく頷く。そこには彼らの、紫紺の羽根団の決意があった。ウィルは指を組み合わせると、静かに彼らを見つめた。そして一言、こう言った。
「わかった。君達の頼みに応じよう」
「兄さん!」
咄嗟にオービルが反論する。
「こいつらは俺たちを殺そうとしたんだぞ。それが今になって協力して欲しいと言ってるんだ。奴らを信じる理由なんてひとつもないぞ」
興奮するオービルをウィルは宥める。
「対立してしまえば、彼らに私達を襲う権利を与えるのと同じだ。オービル。彼らと敵対するのはいいアイデアじゃない。ここは私に譲ってくれないか」
オービルは反発心を拭えずにいた。だが最後はウィルに従う。
「分かった。兄さんがそこまで言うなら……。納得しよう」
だが最後にオービルは、ダデュカとレリュに激しい言葉を投げつけるのを忘れなかった。
「但し二度、いやそれ以上かもしれない。あんた達が犯した過ちを俺達が許したとは間違っても思ってくれるな。それが、俺達が協力する条件だ」
ダデュカはまたも静かに頷く。するとレリュがウィルとオービルの体に触れた。そしてダデュカが祐樹と梨奈に勧める。
「君達も、来るといい」
祐樹と梨奈は誘われるように、ダデュカの勧めに応じてダデュカの体に触れる。祐樹と梨奈は警戒心より、好奇心が勝ったのかもしない。二人はまるで熱に浮かされたようにダデュカに触れていた。
そして次の瞬間には、風が「振れた」。祐樹達は初めて、ガトゥ、ダデュカ、レリュ達が暮らす未来社会、「アゼテリ」の支配する世界へとタイムワープをすることになった。




