表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/86

ガトゥ再来 3

 オービルは驚いた様子で、喜色満面の笑顔を浮かべる。

「祐樹! それに梨奈! どうしたんだ!」

 ウィルも祐樹達に目を止めると、嬉しそうに歩み寄ってくる。そこには明るく陽気な、変わらぬ二人の姿があった。オービルが親しげに祐樹の肩を叩いてくる。

「どうした? 四年振りだな。あの日君達が突然いなくなって以来だ。一体、何があったんだ?」

 オービルの声には抑揚があって、その喜びようが分かった。ウィルは梨奈へ楽しげに話し掛けている。セキュリティの男が、ウィルとオービルに確かめる。

「オービルさん。よろしいので?」

 ウィルは、喜びで少し高くなった声で応える。

「ああ、構わない。古い友人だ。俺達の晴れ舞台で再会出来たのも、何かの巡り合わせだろう」

 一方、オービルはオービルで祐樹と梨奈に呼び掛ける。

「来てくれよ。祐樹に梨奈。俺達の新しい機体を紹介するよ」

 祐樹はウィルとオービルに歩調を合わせながら話をする。

「マウリカという助手を?」

 オービルは軽やかに答える。

「ああ、半年前から雇っている。物理学の知識にやたら詳しい男でね。彼のおかげで飛行機の精度はより上がったよ。まぁ、見てくれ」

 祐樹は上目づかいにオービルを見つめて訊く。

「今、彼はどこに?」

「ついさっきまで機体のチェックをしていた。彼の技術は抜きんでている。彼に任せれば問題ない」

 祐樹は早口にオービルへ話しかける。

「水平尾翼の点検を俺にやらせてください。詳しい事情は話せません。マウリカの整備に問題があるんです」

 オービルは若干面食らったようだ。それでも構わずに祐樹は身振りを交えて話をする。

「彼は機体に細工をしました。これは本当です。俺を信じてください」

 オービルは少し躊躇った。マウリカを余程信頼しているのだろう。戸惑い気味に返事をする。

「それは……構わないが。マウリカの整備に問題? 機体に細工? すぐには信じられない。ただ、君を拒む理由もない。調べるなら……調べてみてくれ」

 祐樹は早速機体の底部に潜り込み、水平尾翼を調べ始めた。

 特殊な金属素材による加工。ウィルとオービルが気付かなくとも、その事実を知っている自分なら見つけられるはずだ。祐樹はそう思って調べ続けた。

 オービルが興奮気味に、この四年に渡るライト兄弟と軍部との親しい関係について梨奈に話をしている。オービルは飛行技術の軍事利用については今も積極的な様子だった。

 ウィルは何か物言いたげだったが、ここはオービルに譲っていた。ウィルもより現実味のある考え方にシフトしたのだろう。

 祐樹は頭の中で「特殊な金属素材」という言葉を繰り返していた。すると水平尾翼の小翼が重ねて付けられている場所。そこに少し不自然な膨らみがあった。

 祐樹が手で探ると、そこには透明な金属素材が組み込まれていた。これでは機体はバランスを失って墜落してしまう。

 祐樹は小さくガッツポースをして、金属素材を取り外す。祐樹はオービルに短めに事情を話すと飛行訓練を中止するよう勧めた。

 ウィルとオービルは明らかに戸惑っていた。祐樹は今一度、二人に一時的に訓練を遅らせるように頼んだ。

 そして金属素材を片手にガトゥのもとへ走り出した。祐樹の気持ちはこれまでになく掻き立てられていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ