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C#  作者: 双六
1/3

素敵な文章


彼女の為なら、命だって惜しくはない・・・



そんな格好のいい台詞を、心から言える、

そんな強い男になりたい。



そんな事を、思い続けてもう何年たったんだろう・・・



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「で、居酒屋の面接どうやったん?」

と電話越しに聞こえるのは、水本の声だった。


「あ、うん、明日から来てくっれって・・・

 なんか、気に入ってくれたみたい。」


水本《みずもと》は、僕の中学時代の同級生、

高校を卒業後、専門学校に行き、

今は、車の整備士をしている。


「まぁ、とりあえずのバイトにしても、早く定職探せよ、

 もう25歳にもなるんやから、いつまでもフリーターってのもな、

 だいたいお前は・・・」


こいつは、電話をかけてくると決まって僕に長い説教をする、


「仕事は決まったのか?」

「実家には帰っているのか?」

「彼女とは会っているのか?」

「自炊もしろよ!」


まるで、母親の様な説教をする。

まぁ、25歳にもなって自立していない僕に説教してくれるのは、

こいつぐらいなもんだ、

親ですら、最近は何も言わなくなった。

たまに電話をかけてきては、暇つぶしでも長々と説教をしてくる水本には感謝している。


「おぅ、分かってるよ・・・

 明日から行く、居酒屋のバイト、仕事覚えたら正社員にしてもいいって言ってくれたし。」


「そうか!良かったやん!ほな、とりあえず週末に誰か誘って飲みに行くわ!

 安くしてくれる様に店長に頼んでや!」


「アホか!入りたての俺が、そんなん言える訳ないやろ!?」


「ガハハ!冗談やん!じゃ、週末な!」 ガチャ・・・・


と、いつも長々と説教をし、数日後の約束をしたら、

自分勝手に電話を切るのも毎度の事だ。

水本とは、学生時代から、そんな男であり、僕の親友だ。




僕は、今日の面接で、明日の初出勤にノートを持ってくるよう言われたのを思いだし、

近所のコンビニに向かった。

この辺りは、大阪市内とはいえ、繁華街から離れた緑の多い場所だ、

近所には大阪城を囲む、大阪城公園があり、

犬の散歩や、ジョギングをする人、観光客、

あとは、住所が大阪城公園という青いシートで暮らす人達で一年中賑わっている。

僕も、ここを気に入っているし、彼女もここを好きだと言っていた。


僕は、その公園を横目に、歩いた。

彼女に、仕事が決まった事を伝える、素敵な文章を考えながら・・・









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