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アラサーからのダンジョン探索~英雄は目指さない。マイペースに遊びながら稼ぎます~  作者: 迷子
第一章 脱サラ探索者デビュー!

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第17話 コンプラ①

「はっ!? あの態度わざとだったの!?」


 おっぱい姉妹との探索の次の日。

 いつも通りの生産日。それぞれ作業をしながら、雑談に興じていた。

 そして何気なく聞かされた事実に、声を上げた俺である。


「そうだよ。当たり前だろ」

「でないと川辺があんな態度を取る訳ないだろう? いくらなんでも、らしくないと思わなかったのかい?」

「いや、ほら。〈戦士〉になって血の気が上がって、ついでにレベルも上がったからついにイキり始めたんかなって」


「ああ、そう言われると確かに」

「んな訳ないだろ! お前ら俺を何だと思ってんだ!」


 そう思われても仕方ない態度だったんだよなぁ。

 チラッと友達止めようかと思ったもん。


「いやでも、なんでそんなことしたんだよ。俺がフォローに回らなきゃって、最初は大変だったんだぞ」

「そりゃお前、分け前減らしたくねぇなぁって」

「その通り」


 お前ら……。

 俺が呆れた目を向けると、川辺はヘラヘラ笑って言った。


「冗談だよ。俺もレベルは上げたかったし、最初は仲間を入れるのも良いかもなと思ってたぜ? だけどさ、タケさんの話を聞いて改めて思ったのよ。“あれ? これマジで焦る必要ないんじゃね?”って」

「僕もだ。それよりも今の調子を維持する方が重要だと判断した。で、川辺と相談してね」

「示し合わせてたんかい」


 こいつら、俺のいない所で……。


「だってパーティークラッシャーよ? いくら真帆さんに頼まれたって言われてもなぁ?」

「なんで僕らがわざわざ目に見えた地雷を抱えなきゃならないんだと思うだろ」

「まぁ、それは確かに」


 俺だって最初は本気で嫌だったしな。


「それと真面目な話、楓太のことがあるからな。信用できる奴じゃないと組みたくなかったんだよ」

「君だって、自分がどれだけやばい存在か分かってるだろ」

「それは分かってるつもりだけどさ」


【鑑定】の力はそれだけやばい。これだけは絶対に隠さないといけない。


「言っておくけど、警戒してたのは金目当ての奴らにお前が利用されることだからな。【鑑定】じゃねえぞ」

「えっ、そうなの?」

「楓太は本当に自分の稼ぐ力を低く見積りすぎているね」


 頭が痛い、というように伊波は溜息を吐く。


「正直、君と離れるなんて考えるだけでゾッとする。渋谷ダンジョンのような初心者ダンジョンでも、初心者が安全に、月に百万以上を安定して稼げる存在だぞ? 下手な相手に目をつけられると寄生され続けるのが目に見えているだろう?」


「だからできるだけ隠しておきたかったんだよ。せめて信頼できる相手だと確信できるまではな。万が一にでも俺達の方が追い出される羽目になったらそれこそ洒落にならんし」


 いや、俺がお前らを追い出すとか有り得んが。

 まぁこいつらからしたらそれくらい怖かったのか。


「結局全部無駄だったけどな」


「あの状況で説明しないのも不自然だったし、そこは別にいいんだけどね。しかしトシさんとの取引は余計だった。せめてあの子達が居ない時に声をかけてくれれば。完全に楓太の甲斐性があれでバレたよ」


 それは確かになぁ。

 なんでよりによってあのタイミングだったのか。


「つってもトシさんが悪いって訳じゃないからな」

「それはそうだよ! 一番悪いのはお前だからな!」

「その通りだ! 君は甘すぎる!」


「はぁ!? 俺のどこが甘いんだよ!」


 赤の他人を見捨てるのに躊躇いがないくらいはシビアじゃい!


「お前は本当に自分のことになると扱いが軽い! そもそも今の稼ぎはお前の力に依存してるんだぞ! もっと取り分を主張していい立場なんだよ! なのに自分から山分けを提案するとかなんだよ! 草むしりするだけで大金プレゼントとか舐めてんのか!?」


「百歩譲って付き合いの長い僕らに配慮してくれるのは分かる! 本気で平等に稼がないと嫌だと思ってるんだろうさ! だけどその日に知り合ったばかりでまだ固定パーティーを組むかも分からない相手に、ポーションの売り上げまで等分とは何事だ!」


「なんで山分けしてるのに俺が責められなきゃなんねぇんだよ! お前らだって利益受けてる立場だろうが!」


「それはその通りですぅ! ありがとうございますぅ!」

「もう君なしのパーティーなんて考えられないよ! これからもよろしくね!」


 もう怒ってんのかへりくだってんのか分かんねぇなこれ。

 と言うか、伊波はちょっと気持ち悪い。


「おまけにパーティー資金まで使っての介護だよ。あれでお前がお人好しってことが完全にバレた」

「最後は明らかに目の色が変わってたからね。何がなんでもしがみついてくるよアレは」

「何がなんでもって……流石にそこまでじゃないだろう?」


 自分で稼げるようになればすぐ離れると思うぞ。


「何言ってるんだか。自分でも分かっているだろう? 最後には名前で呼ばれていたじゃないか」

「それは……一気に距離縮めてきたなぁとは思ったけど」


「生活に困窮していた所、あっさりレベルを上げさせた上に、スキルの使い方まで教えて、駆け出しでは手に入らない報酬を山分け。尚且つボロボロの自分達の姿を見て、下心抜きに装備を調えろと予備資金を渡す。どうよ? こんな甲斐性のある良い男を女が手放すと思うか?」

「いや、手放すって。まるで気があるみたいな言い方じゃん」


 年齢差を考えろよ。

 流石にその感情はないだろ。あるにしても俺じゃなくて金にだろ。悲しくなるわ。

 あっ、だから金目当てにってことか。


「そうなってもおかしくないと思うぜ? それだけのことはしてるもん」

「そうでないにしても、金蔓から離れる理由はないよ。飢えた女の金に対する嗅覚を舐めるな」

「いくらなんでもその言い方は酷くない?」


 あの子達はそんな金にしか興味ありません、みたいな子じゃないと思う。

 だいたいお前が女の何を知ってるんだ。ヒョロガリオタクが。


「最初は上手くいってると思ったんだがなぁ。意外にもあの子らがそれなりに有能だったのがまた。あと巨乳なのが不味かったか」

「胸がデカければ甘くなる。なんてちょろい男だ。これだからおっぱい星人は」

「ちっっっげぇから!! 断じてそれだけはないから!! 流石にそこまでバカじゃないわ!!」


 チラ見してはいるけども! しまくってたけども!

 最終的にそれで入れることはないから!


「ともかく、ここからガツガツ迫ってくるぞ。頼むからこれ以上流され過ぎんなよ」

「特に君は身内認定したら途端に甘くなる。どこまでも吸い尽くされるぞ」

「いやいや、流石に警戒しすぎ――」


 ――ピンポーン。


 いつになく、家のチャイムの音が綺麗に聞こえた。

 なんちゅうタイミングだ。狙ってんのか?


「ほら見ろ。来たじゃねぇか」

「行動が早い。なんて女だ」

「判断が早い。普通に宅配かなんかだよ」


 そもそも連絡先は教えたが、住所までは教えてないわい。

 そこまで防犯意識の低い俺ではないわ。


 ♦   ♦


「お邪魔します」

「お邪魔しまーす!」

「ピッピー!」


 本当に来たわ。

 え、なんで住所知ってんの?


 まさか来るとは思わなくて、そのまま流れで入れてしまった。ちょっと後悔してる。


「お疲れ様です。やっぱり二人もいらしていたんですね」

「川辺さん、伊波さん! こんにちわ!」


「おう、こんちわ〜。――マジで来やがった」

「うん、こんにちわ。――冗談のつもりだったのに、動きが早すぎる」


 挨拶をしつつ、苦々しい顔でボソリと呟く二人。

 そんな二人の様子には気づかず、チヨちゃんは好奇心に満ちた目で二人の使っている道具を見た。


「二人とも何をしてたんですか? 昨日の素材ですよね、これ」

「ああ。楓太の手伝いだよ。こうやって素材を細かくするんだ」


 ゴロゴロと薬研を転がす伊波の手本を見て、七緒さんは口元を手で抑えた。


「手伝い――すいませんでした。私達もやるべきなのに」

「ああ、いいよ。そんなに量もないし、休んでくれって言ったのは俺だしね」

「そうそう。それに、信頼できる仲間にしか任せられない作業だしね」


 軽いジャブのつもりなのか、伊波は何気ない調子で言った。

 ぴくり、と七緒さんの表情が引き攣った気がした。


「そうですか。昨日の私の態度では仕方ありませんね……あの、これ。お詫び代わりというか、挨拶のつもりでしたが」


 そう言って、七緒さんは持っていた包みを渡してくる。


「これは?」

「お弁当です。お邪魔するのに手土産をと思ったのですけど、もらったお金で何か買って渡すのもどうかと思いまして。男の方ですし料理はあまりしないかなと思って、作ってきました。ご迷惑でなければ召し上がってください」

「ほう、お弁当……」


 確かに自分が渡した金で土産を渡されてもな。そして異性、それも美人からのお弁当か。どうしよう、ちょっと嬉しい。


「あの女、胃袋を掴みに来やがった……ッ!」

「古典、しかし王道! 女に免疫のない男にはこれ以上なく刺さる! やはりあの女、手慣れてる……ッ!」


 うるさいよ。お前ら。だからそんなに甘くねぇよ俺は。ちょっと楽しみにしているだけだ。


「ではこちらはありがたく。ああ、まともに座るところもなくてごめんね。とりあえずそこ座ってくれる?」


 急いで錬金道具を片し、座椅子とクッションを渡して、ちゃぶ台を挟んで座らせる。

 まいったな。川辺と伊波くらいしか来ないから、来客をもてなす様な家具はない。ちょっと恥ずかしいわ。


 正座をする二人を改めて見る。

 チヨちゃんは、Tシャツにスカートとラフな格好。若々しくて可愛らしい。

 七緒さんは、サマーセーターにパンツスタイルの大人っぽい恰好。露出は少ないのに盛り上げる確かな胸元が、妄想を掻き立てられて逆にエロい。


 私服の美人が俺の部屋に来ることがあろうとは。もう死んでもいい。


「さて、とりあえずなんだけど。何で俺の住所を知ってるの? 教えてないよね?」

「その、実は真帆さんから聞きました。どうしても楓太さんと会って話したかったので」


 真帆さんか〜。まぁその辺しかないだろうとは思ってたけど。


 はぇ~。まさか真帆さんがね〜。常識ある人だと思ってたんだけどなぁ〜。コンプラ意識のかけらもない人だったとはなぁ〜。


「あの、あまり真帆さんを怒らないであげてください。私が無理を言って、嫌がる真帆さんに頼み込んだんです。これが最後のチャンスになるかもしれないからって」

「最後のチャンス?」


 何それ? 何の最後?

 混乱していると、七緒さんとチヨちゃんは深く頭を下げる。


「昨日は失礼な態度を取ってしまい、大変申し訳ありませんでした。深く反省しております。どうかお許しください」

「私も、すいませんでした」

「えっ、なに? 昨日も一応、謝ってたよね。俺も許したつもりだけど?」


 そう言うと、七緒さんは気まずそうに目を逸らした。


「実はここ最近、不安で眠れない時が多かったんです。でも昨日は、これからは大丈夫だって安心できたおかげか、私もチヨも久しぶりにぐっすり眠れたんです」


「お布団入ってすぐに眠れたのは久しぶりでした。明日は大丈夫かな。死んだりしないかな。そう思うと眠れなくなっちゃうし、眠っても魔物に襲われた夢を見て目覚めたり……」


 その時のことを思い出したのか、チヨちゃんは怯えたような顔を見せる。

 ちょっとしたトラウマになっているのかもしれない。幸い俺達はそんな経験はまだないけど、もしかしたらこれが普通なのか?


「ぐっすり眠って頭がスッキリしたせいか、朝起きてすぐに気づいたんです。私達、楓太さんに八つ当たりしてたって。それなのに楓太さんは優しくしてくれて、なおさら申し訳なくなって……もしパーティーを断られても、私達は何も文句は言えないなって。だからせめて、もしそうなったとしても謝罪はしないとって思ったんです。本当にすみませんでした」


 そう言って再び頭を下げる七緒さんは、本気で悔やんでいるように見えた。


 極度の疲労で人格が変わるというのはよく聞く話だし、元来真面目だからこそ、それに気づいて後悔しているのだろう。


 少なくとも、俺はそう感じる。――が、俺の仲間の目は厳しかった。


「一見殊勝な態度に見えるが、実際は心神耗弱ゆえの情状酌量の余地あり、というアピールでの自己保身か。俺でなかったら見逃しちゃうね」


「というか、私達ってなんだ? チヨちゃんは良い子だっただろう。妹を巻き込むなよ。八つ当たりしていたのはお前だけだ。図々しい」


 それは本当にそう。

 俺にキツかったのはお前だけだ。お前だけ。


 羞恥か、それとも怒りか。頭を下げて顔は見えないが、七緒さんはフルフル震えていた。

 オロオロと姉と俺達の間で視線を彷徨わせるチヨちゃんに、川辺は声をかける。


「チヨちゃん。ちょっと素材の下処理やってみない?」

「えっ? 良いんですか!?」


「構わないよ。チヨちゃんは信頼できるからね」

「わぁ! 実は道具を見てちょっと触ってみたかったんです!」


 薄情……というより好奇心に負け、チヨちゃんはあっさりと姉から離れた。

 そして俺と七緒さんをよそに、三人はワイワイ作業をし始める。

 俺もあっちに混ざりてぇなあ……。


「まぁ、反省してるなら良いよ。元々無理に追い出すつもりもないし。上手くやっていこう」

「あ、ありがとうございます! 私、役に立って見せますから!」


 許しが出てほっとしたのか、七緒さんはパァッと表情を明るくさせた。そして、また深々と頭を下げる。


 そうすると、畏まっているから自然と腕を寄せた状態になって、それに合わせて胸が寄って。

 サマーセーターで隠された大きな胸が、なおさら目立って…… 。


 ……はぁ。


「あの、楓太さん? どうなさいました?」

「いや、なんというか……やっぱり止めようかなって……」

「えっ……えっ!? なんで!? 今上手くやろうって!」


 なんでって言われてもな。ここまで打算的だと普通に冷めるっていうか。


「「あははははは!!」」


 愕然としている七緒さんを見て、川辺と伊波は腹を抱えて笑っていた。


「渾身の色仕掛け失敗! これは恥ずかしい!」

「バカめ! いくら巨乳好きと言えど拗らせたオタクの鉄壁の防御力を舐めるなよ! 基本卑屈で女に好かれないって自覚しているからな! だからこそ色仕掛けはすぐに見抜けるぞ!」


「――うっさいわよさっきから! なんなの!? あんたらには何もしてないでしょ!?」

「おっと!? とうとう本性見せたな! 楓太ぁあああ!! これがこの女の正体だ!!」

「楓太は僕らのものだ! お前みたいな金目当ての女に渡さないからな!」


「お姉ちゃん、そうだったの?」

「違う! お金目当てじゃないから! 決めつけないで!」


 男女の対立だけではなく、姉妹で疑心暗鬼が発生しかけている。なんてカオスな。


「とりあえず、七緒ちゃんさぁ」

「七緒ちゃん……! は、はいっ! なんですか?」


「たぶんだけど、基本的に男舐めてない? ちょっと色仕掛けするだけで男なんか思い通りに動かせる、みたいな。というか、慣れてるでしょこういうの」

「そんなことは……その、なきにしもあらず、と言いますか……」


 しどろもどろになりながら、手を擦り合わせている七緒ちゃん。

 やっぱりな。まさかとは思っていたが。


「俺さ〜、チヨちゃんが原因で今までパーティー崩壊してきたんじゃないかって思ってたんだけど、もしかして七緒ちゃんが原因だったんじゃない?」

「そんなことは……ないんじゃないかと……」

「えっ。私、そういう風に思われてたんですか?」


 ガン、とショックを受けるチヨちゃん。いや、君も一因であることは確かだよ。


「チヨちゃんも原因があるだろうけど、どっちかって言うと七緒ちゃんが直接の原因じゃない? いつもの感覚でやって、血の気の多い連中をコントロール出来なかったとか」

「……それは、ちょっと……まぁ、あったり、なかったり……」


「マジかよ。最悪の悪女じゃねぇか」

「思ったより性質が悪い女だったな。今からでも追い出さないか? チヨちゃんだけいれば良いだろう?」


「えっと、ごめんなさい。あんなのでもお姉ちゃんですから。見捨てられません」

「あんなの……!?」


 男を積極的に騙そうとする姉だぞ。そんな扱いにもなるだろ。見捨てられないだけマシと思え。


「妹はこんなに良い子なのに、どうして姉はこんなのになっちゃったんだろうね。どこで道を間違えたのか」

「……胸が理由でアイドルを諦めて、その後も男に散々下心ありきで見られてきたんですよ? どうせそういう目で見られるくらいなら武器として利用することの何が悪いんですか!?」

「すまんかった」


 秒で謝ったわ。マジで申し訳ねぇ。


 なるほど。気が強かったからこそ、そっちに振り切っちゃったのね。これは責められんわ。というかメンタル強いな。俺が同じ立場だったら折れてるぞたぶん。


 話変えよう。男としてこの話題は気まずすぎるわ。


「と、ところでさ、なんで二人とも探索者をやろうと思ったの? ジョブからして諦めてもおかしくないよね? 特に七緒ちゃんはOLだったんでしょ?」

「きっかけは、会社が倒産して仕事を探していたからですけど」


 ああ、倒産でしたか。


 ダンジョンが発生して以来、社会は大きく様変わりをした。それはあらゆる業界へ影響を与える物であり、それに適応し業績を飛躍的に伸ばしたところもあれば、時流に乗り遅れ潰れてしまう企業もある。七緒ちゃんの会社もその内の一つなのだろう。


「それにしたってさ、探索者なんて普通選ばなくない? 七緒ちゃんみたいなしっかりした子ならなおさらでしょ。就職活動すればちゃんとした企業にも入れるんじゃないの?」

「それはそうなんですが、それはチヨが……」

「チヨちゃん?」


 え? こっちが原因なの?

 予想外の答えに、呆気に取られる。

 チヨちゃんは楽しそうに素材を磨り潰しながら、話してくれた。


「私、前から探索者になりたいと思ってたんです! でも、危ないからダメってお姉ちゃんが許してくれなくて。だけどお姉ちゃんの会社が倒産するかもって話が出た時、チャンスかなって思ったんです! 

 探索者は稼げるって言いますし、ここで私が探索者になっちゃえば、お姉ちゃんも巻き込んでなし崩しに認めてくれるかなって。だから私、お姉ちゃんの会社が倒産する前に高校に退学届を出しちゃいました!」


「高校辞めちゃったの!?」


 ギョッとして七緒さんを見る。

 七緒さんは苦々しい顔をした後、頷いた。


「あれには本当にびっくりしました。普通に学校に通っているものだとばかり思っていたので。まさか数ヶ月も前に退学しているなんて思いもしませんでした。流石にあの時は大喧嘩になりましたね」


 いや、そりゃそうでしょうよ。思い切りが良いって言うか、無謀というか、考えなし過ぎる。

 同じことを思ったのか、川辺は窘めるような口調で言った。


「流石にこれは七緒ちゃんが正しいだろ。チヨちゃん、なんでそこまでしたん? 高校を辞めてまでわざわざダンジョンなんて、お父さんお母さんにも心配かけるんじゃない?」


「大丈夫です! もう二人とも死んでますので!」



 部屋の空気が死んだ。




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― 新着の感想 ―
うっわー!不幸体質の相乗効果がやってきてしもうた・・・
あれ?妹の方がぶっ飛んでない?あれ?
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