キャンセル不可な
「あまり急死する自覚も無いんだが いったい私の死因は何だったんでしょうかぁ~?」
相手の反応から確定で【黒】だと判断したニートはケンカ腰に尋ねた
「あの……その……『ちょっと動いて無い人居るよ~』ってゴーグルから通知来たから 【死亡確定ボタン】ポチッと」
目が高速で左右に反復横跳びしている
神様の周囲では【神の奇跡】により言語が可視化され「あばばばばばばば」という文字が飛び回っている
「とりあえず失敗したのは分かったから良いんで、元に戻して下さい」
やれやれと頭をかきながら当然の要求をする
「……んぐっ」
なんか子供が泣き出す前のような張り詰めた空気を感じる
「……戻せないもん」
「えっ……」
「死亡確定ボタン押したら元に戻せませんって書いてあったもん」
涙目になりながら神が言う
「もんとか言われても それに神なのに書いてあったって他人事な」
「んっ……私の奇跡によりシステム化された物は、私の意識とは関係無く進化するから ゴーグルは神の理さえ超えた超越存在となってる」
あまり何言ってるか分からない
「つまり私じゃキャンセル不可」
分かりやすい説明ありがとう
一度は反論のため意気揚々と立ち上がったニートだが
再び腰を抜かすようにストンと座り込む
「キャンセル不可かぁ~」
何も無い空間だが空を眺めるように虚空を仰ぐ
さっき神から飛んでいった「あばばばばばばば」が蝶々のように群れて舞っているのが見える
あばば
ば ば
ば
ば ば
確かに超越存在して生き物になってるわ
「平和だ」
ひらがなが飛んでいるのを見るのはシュール過ぎる
久しぶりに何も考えずに座っている気がする
ニートというのは気楽そうに見えて
常に将来に対する不安とか、世間体というプレッシャーに押し潰されようとしている
――
数分
ふと
神が静かになったと思い横目で見ると、何やらスマホを操作している
「んっ できたっ」
幼稚園児が絵を描いたみたいな言い方だぞ
先ほどからベソかいていた神の幼児化が止まらない
神がスマホから目を上げ視線が合うと、神様らしいドヤ顔に戻りながらこっちをキリっと見た
「できたっ」
うんそうだね~じょうずに出来たね~ と言い返したくなるような感じだ
結婚して子供の親になってれば、こういう気持ちだったのだろうか
今度は神の周囲から【ドヤ】が可視化され【あば】のように飛んでいく
ドヤ
ドヤ ドヤ
ドヤ 神 ドヤ
「なにができた?」
「魂の統合性を取るためにニートの存在は3年間消失した事にした」
急に早口&幼児の話し方では無いため面食らう
「消失って」
どこぞのアニメ映画でもあるまいし
その後の予想される超絶早口に耐えようと、気合を入れて向き直る