年の瀬
冬の足音がし始めた頃、最初に買った回数券も残りわずかになってきたところだった。
「かまこさん腸腰筋が固いですよ。このままだとまた腰を痛めますよ。
少し間隔を狭くした方がいいですよ。」
施術をしているお兄さん先生は険しい顔をしている。
なるべく早めに受けに来ます。
そんなやり取りをしていたが
次の予約はお兄さん先生の体調不良で延期になってしまったりしてタイミングがずれてきてしまった。
そんなある日のことかまこは軽い吐き気やだるさが出て調子を崩していた。
風邪かと思ったが、熱もなければ咳も出ない。
確かヘルニアになる前の状態がこんな感じだった。
急だったがお兄さん先生のところへ駆け込んだ。
お兄さん先生は少し渋い顔をしていた。
そんな急に来るほどのことでもないぞという雰囲気だ。
施術を受けたが、楽にはならなかった。
「残りの回数券が1回ですね。かまこさんの状態だったら月1回がいいと思いますので、サブスクプランで…」
月1回で10,000円のプランを勧められた。
かまこのお給料では通えない…
他の鍼灸院を探した方がいいのかもしれない。
そんな考えが頭をよぎった。
さらにお兄さん先生はかまこに
「あまり急な予定変更は他のお客様に迷惑が掛かりますので気を付けてください。」
30分刻みで施術して他にもう1人スタッフを抱えてる個人事業主のお兄さん先生にとっては
急なキャンセルや予定変更はかなりの損害になる。
迷惑極まりない。
わかりました。
お兄さん先生と会えるのもあと1回なんだろうな。
どこかせわしなさと寂しさが混じりあうざわつきを感じながら鍼灸院を後にした。
帰り道の街のあちらこちらにはクリスマスカラーとイルミネーションで彩られていた。




