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もう1つの心当たり

かまこは物心ついたときから心の中で神様と会話をしている。


実家は大工だったから、父の仕事の手伝いをしていた母に連れられて、地鎮祭や建前とか節目ごとに土地の神様へ祈りをささげていた。


だからかまこにとって神様は宗教というよりも


いつもそこに在るものでしかない。




「すごく大きなものに守られているのよ。」


あの座敷童が家に居る霊感のある先生が視ていたであろう、それはきっと…



かまこが中学の時

お洒落に目覚めたかまこは洋服を欲しがることが多くなっていた。

新しいものはそんなに買っては貰えなかったから、姉のお古を譲り受けたりしてかまこなりに楽しんでいた。

ある夏の暇をもて余していた頃の事、押し入れに母の若かりし頃の洋服がしまい込んであることを知り、いてもたってもいられずに物色していた。


母が着ていた洋服は押し入れのにおいが染みついていて、中ぐらいの段ボールひと箱分あった。

その中の1枚に白と黒の格子柄の中にラメ糸がアクセントとして織り込まれている生地を使って、母が自分で作ったであろうノースリーブのミニ丈ワンピースがあった。


その服を見た瞬間突然記憶が蘇ったのだ。




『本当にこの人でいいのか?』




優しそうだから、この人がいい!


押し入れで見つけた格子柄のワンピースを着ている若いころの母をかまこは上から見下ろしていた。


もう1人、ストレートロングの黒髪の女性も選択肢にあったのだが、かまこは母を選んだ。


『わかった。』


声の主は大きな存在で

かまこはその存在と話すときは首が痛くなるくらい見あげてお話をしていたことを覚えているのだが、顔までは覚えていない。いや、顔なんてあったのだろうか?


その存在が神だと思っていた。


まだ、かまこがこの世に生まれる前の記憶だ…。



今の時代なら話しても大丈夫だろうが、この頃は迷信は沢山あったが、表立って不思議な話をしようものならすぐに精神科へ連れていかれた時代だ。


記憶は蘇ったまま誰にも語ることもなく胸の内にしまい込んでいた。


私はどこから来てどこへ行くのだろう?


そんなことを思いふける思春期だった。



48歳になった今でも答えなんて見つからないが


ただ思う事は持って帰れるものはお金でもなく、物でもなく、肉体でもない…


なにを思い、なにを感じ、なにを魂に刻めたか。


言葉に表せない感動はきっと深く魂に刻まれてキラキラと内側から輝きを放つのだろう。


その一方でどす黒い感情は己自身や他の意識をギラギラと汚染していくのだろう。





幸せになりたいと神に願ったとしても


幸せとか不幸なんてものはそもそも存在し得ないものなのかもしれない。


自分が素直でいられたら


呼吸をするように仕事をして、人と関わって、本当にやりたいことができたら


そこにやっとかまこは存在できたと実感するのだろう。


そんな実感を得たくて、この48年間もがいてきたような気もする。


『私はここに居る。』


私はいつもそう包みこんでいる


















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