幸か不幸か
いたたたた…
「座骨神経痛だねぇ」
白髪のボブに黒縁眼鏡
どっかで見たことあるような風貌をしたペインクリニックの医師に
診療台の上で足を前方へそらされるかまこ
「ヘルニアっぽいねぇ」
診断されたのは3日後のことだった。
動けなかったのだ。
トイレには行けたが、初日は体中が痛くてどこが痛いのか全く分からなかった。
家にあった市販の痛み止めは全く効かなかった。
2日目は歩きづらかった。頭もボーっとする医者に行ったほうがいいのはわかるが、
どこに行けばたらい回しにならずに済むのだろう?そんなことを思いながら眠りこけてしまった。
3日目腰から左太ももの裏側にかけて痛みがあった。
評判のよさそうなペインクリニックをwebで探して、
今雄叫びをあげている。
「無理すんなよ~」
神経ブロック注射を打たれ黒縁眼鏡に見送られる。
2~3週間前に大掃除はしたけど、関係あるのかな?
はたまた上司の説教が引き金になることなんて…かまこには原因は分からなかったが、
何かの事故にあったような気分だ。
そんなこんなで身も心もむち打ち気味なかまこは腰痛のため仕事をしばらく休むことになった。
まぁ上司からしたらさ、売り上げ成績の悪い人間なんていないほうがいいだろうし
このまま辞めてしまいたいくらいだ。
もう、本物の出来損ないじゃないか…
和室に敷いた布団の上に寝そべり
スマホで動画配信サービスをぼんやりと眺めながら慰めになるような言葉を探すのだった。