痛み 【MIRAI】
頭が痛い。とても。
目覚めたとき、未来は見覚えのない部屋にいた。いや、『空間』と言った方が正しいのかもしれない。
『ここは……っつぅ!!』
未来は頭の割れるような痛さに顔をしかめた。なんだ、この頭の痛さは。打った記憶も、何かが当たった記憶もない。
それに、ここはどこだ? 急に飛ばされたようなものだ。もちろん、頭の事と同じ、記憶にはない。
『それに、声が……? こもってるのか?』
何がそうさせているのかは分からない。耳がおかしくなったのか、この空間がそうさせているのか?
どこだかわからない空間でこんなことになるとは……まったく、厄介な事だ。イライラする。
『はっ……ついに頭イッたのかな……』
自分の言葉に自嘲の笑みをこぼしながら未来は額に手を当てた。
未来は頭上を見上げてみた。だが、周り同様、白い空間のみが存在する。どこまで続いているのだろうか……そんなことを思いながら手を伸ばしてみた――
「未来!! 未来ってば!!」
「ちょ、愛奈、落ち着いて!? 頭打ってるやつの頭打ってどーすんの!?」
愛奈となつきの声がする。
頭がジンジンと痛かった。
「……てぇ……」
さらなる頭の痛さに未来は重いまぶたを開けた。今度は頭だけじゃなく、体も痛く、しかも重くてだるい。吐き気すら覚える。
「未来、頭打って気絶したんだよ。他のところは大丈夫? 痛いとこない? 」
愛奈が未来の顔を覗き込む。その目がうるんでいるのは気づかないふりをした。
そして、自分の体の異常を確認する。
「足が痛い」
素直にそう言った。右足首が異常なほど熱く、ジンジンする。よく見るとそこは明らかに腫れあがっていた。
それに気がついたらしい悠は目を見張らせてとっさに未来の足もとにしゃがみこんだ。
「な、何だよ?」
「痛かったら痛いって言ってね?」
悠は未来の質問には答えず、ただそう早口に言った。自分の発言を無視されたことに少しイラッときたが未来は黙って頷いた。
そして悠は未来の足首に触れ、腫れあがった部分を押す。
「っつ!? な、何すんだよ!?」
「やっぱり」
「てめ、聞いてんのか!?」
未来の言葉は完全に無視だ。悠はそっと未来の足首から手を離した。
そして、言った。
「――明日の大会は――」
その先の答えは聞きたくない事実。分かっていた事だけに心臓がえぐられたような痛みだった。
そしてその次に浮かんだ感情に俺は――
やっと更新できました。しかしながらまた更新があきます。