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#16 結婚式と答え合わせ

王宮の中庭、太陽に照らされる華やかな会場。


真珠色に輝く大理石の壁面、優雅に咲き誇る白い百合の花、清らかな泉の水音。どこをみても上品な装飾が施された、まさに王室の結婚式にふさわしい雰囲気が漂っている。


そこに、レオウィンとアリサが並んで立っている。


レオウィンは太陽のような美しい金髪を後ろで束ね、紺碧の豪華な王族衣装を身に纏っている。胸元に王家の紋章が刺繍されており、威厳溢れる風格を醸し出している。


一方のアリサは、真っ白な花嫁衣装を纏っている。繊細な刺繍が施された美しいドレスが、彼女の優雅な立ち振る舞いを際立たせる。黒々とした髪が美しく盛り上がり、透き通るような白肌が際立っている。


二人は手を取り合い、互いの瞳を見つめ合っている。レオウィンの優しい瞳が、アリサの清らかな表情を包み込む。


やがてアルドゥイン王が現れ、二人の前に立つ。威厳ある表情で、慈悲深い眼差しでアリサとレオウィンを見渡す。


「今ここに集いし者よ。我が子レオウィンと、異界より臨まれたアリサ。この二人の絆を祝福し、幸せを授けよう」


二人は頷き、祝福の言葉に感謝の気持ちを込める。


「二人はこれより、互いを思い、慈しみ合い、助け合う夫婦となる。二人の愛が、この国の平和の礎となりますように」


アルドゥイン王の言葉に応じるように、会場からは温かな拍手が沸き起こる。


レオウィンがアリサの頬に手を添え、優しく微笑む。アリサも同じように微笑み返し、二人は深い愛情をこめて口づけをする。


ここに、アリサとレオウィンの幸せな結ばれの時が訪れたのであった。



◇ ◇ ◇



二人は答え合わせをしました。


「レオ、まずは何より聞きたいことがある!」

「アリサ、なんでも聞いてくれ」

「私のどこが好き?」

「アリサのどこがと聞かれても、本当に迷ってしまうよ。君の全てが好きなんだ」

「じゃあ、ひとつ特別を挙げるとしたら?」

「もしひとつだけ挙げるとしたら、その強い志だ」

「私はそんなに強くないよ?」

「陛下に聞いたよ、陛下がこの国を託すと行った時、即答で嫌だと言ったと」

「言った」

「クリスも敬意を抱いたと評価してた。私もだ」

「あれは疲れてイライラしてたからよ」

「私もガルシアも、心が弱く、私は言いなりに、ガルシアは逃げ込んだ。でも君ならきっと立ち向かったんじゃないかな。その強さに惹かれてるよ」

「んー、望んだ答えじゃないけど、褒めてくれてるから許す」


「逆に、アリサは私のどこが好きなんだ?」

「顔」

「……え?」

「まさに王子様ってイケメン顔が好き」

「……」

「冗談よ、優しいところかな!」

「私にも嘘を見抜く能力が欲しいと思ったよ」

「嘘じゃないからね!」

「わかってるさ」


「レオ、ガルシア王子は大丈夫だったの?」

「ああ。思ったより元気そうだったよ。君がマリアから情報を得てくれたおかげで助けられたんだ」

「マリア?」

「ガルシアの世話をしていた侍女だ。私たちの母に仕えていたんだが、母が亡くなった後は、私たちの母のような存在だ」

「そっか。だから私にガルシア王子を助けて欲しいと伝えてくれたんだね」

「それにフォンティーヌ公爵がミリアムの所在を正確に把握してくれていたのも助かった。おかげですぐに騎士団を派遣できたよ」

「さすがお父様!」

「今は離宮に戻ってるけど、少しずつ王宮にも顔を出したり、復帰に前向きだよ」

「良かった」

「監禁されてはいたけど、潤沢な資金提供のもとで好きな物作りに専念できたから、むしろ充実してたみたいだ」

「でもすごいよね、大したことのない嘘つき商人を国有数の大商人に押し上げるほどの新商品の開発力って!」

「いや、それにも嘘があってね」

「嘘?」

「嘘というか裏というか」

「どういうこと?」

「我が王家秘蔵の異界文書を持ち出していたらしい」

「なにそれ?」

「過去に異界から呼び出した人たちがこの世界に持ち込んだ技術や知識を集約した書類だよ」

「見たこともない新製品って、もしかして異界の商品だったってこと?」

「そうなんだ。それは女神様から注意されていてね」

「女神様が注意?」

「異界からの召喚儀式は授けるが、文化や技術を汚染するのは本意ではないから、異界の技術や知識は広く広めないで、という取り決めがあった。だから王家が管理して秘蔵していたんだけど」

「もしかしてガルト公爵が持ち出したの?」

「いやガルシアが持ち出した。幼い頃に二人で宝物庫に忍び込んだ時に、それに出会い、異界の文化に強く興味を持ったそうだ」

「二人で?」

「ああ、私たちは寝食を共にしてた、二人で夜中によく抜け出して、探検したものさ」

「そっか、仲良しだったんだね。じゃあ、陛下が危惧したみたいな争いは最初から起こらなかったんじゃないの?」

「そうかもしれない、と今だから思うよ」


「アリサは王妃になったらこの国をどんな風にしていきたい?」

「そうね、ずっと気になってたことがあるの」

「なんだい?」

「物価が高すぎるわ!普通に売ってるりんご一個が3000円もするのにびっくりしたのよ」

「3000えん?それはそんなに高いものかな」

「チッ、これだから王子様は!」

「舌打ち……」

「せっかく王妃になるのだから、民が必要なものを、より品質の良いものを、買い求めやすいように、改革をしたいわね」

「すごいな、もうそんなことを考えてるんだね」

「しっかりしてよね、王になるんだから」

「わかってる、今は陛下の下で王政を学んでいるよ」

「あと貴族の食生活の改善ね!」

「どういうこと?」

「過度に豪華で贅沢な食事ばかり食べてちゃダメ!必要なものを必要なだけ食べないと!」

「そういう君もじゃんくふーど、だっけ、そればかり食べてたって」

「それでも貴族の食生活よりはマシよ!我慢して食べなきゃいけないって思ってたけど、クリスの用意してくれた食事で目が覚めたわ。まずはフォンティーヌ公爵家から改革を始めたわ!」

「君なら本当に国の未来を明るいものにしてくれそうだ。陛下の判断は正しかったようだ」


二人は幸せそうに、未来を語り合った。

短編として描き始めたので、とても展開がコンパクトになっちゃって、悪役の掘り下げはあえて省いてます。でも、書きたかったことは書けたかな、と思ってます。

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