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かつての勇者がもう一度  作者: 隆頭
新たな戦い

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七十四話 協力の証

 こちら側の国々の外からやってきた脅威を退けるこの戦いに限り、ドラゴンたちの力を借りるという約束を取り付けた蒼佑(そうすけ)とソフィ。

 長は蒼佑(そうすけ)に対し僅かながらの不信感は残しているものの、それをこの戦いで見極めることにした。


 助力を得ることができたものの、日照軍が今すぐに侵攻するわけではなく、かといって図体の大きいドラゴンたちと常に行動するわけにもいかない。

 とはいえ、彼らの助力を求める時はどう呼べば良いのかと考えたとき、長は比較的小柄なドラゴンを連れ立つように提案した。


『グラシア……今はイルギシュと言ったか。かの国までの距離程度であれば、足の速い者であればそう時間はかからない。故に、連絡手段とするのであれば、町の近くの森にでも待たせておけば良い』


「それは助かるけど、いいのか?」


 長の提案に、蒼佑(そうすけ)は遠慮がちに聞き返す。ドラゴンたちを連れ歩き、暇なときは待たせる。

 そのことに彼は、些か身勝手なのではないかと感じたのだ。


『奴らがいつ攻めて来るかは分からないのであろう?ならば、不足の事態に備えておくのは当然のことだ。その間にでも、人間の仲間たちと用意しておくが良い。我らも準備しておく』


「そうか。ならお願いするよ」


 長の言い分を聞いた蒼佑(そうすけ)は、手段を選んでいる暇もないと素直に頷いた。

 それを見た長が空を見上げると、蒼佑(そうすけ)たちより更に上空を旋回していた一体のドラゴンが降下してきた。


『この者は、我々の中でも速さに優れている。故に、連絡要因としても移動手段としても使えるはずだ。身体は小さいが、これでも頼りになる』


『……よろしく頼む』


 灰色の鱗と紺碧の瞳を持つそのドラゴンが、頭を下げて軽い挨拶を投げかける。長の言う通り、彼は周囲のドラゴンたちと比べると一回りも二回りも小さい身体をしていた。

 しかし、小さいといってもそれはドラゴンの中での話であって、なればこそ人間と比べれば充分に大きい。だから、蒼佑(そうすけ)たちからすれば、彼は充分に頼りになるように見えた。


「こちらこそよろしく」


「しばらくは連れ回すことになるだろうが、力を貸して欲しい」


『もちろんだ。その不埒な連中の狼藉をまざまざ見逃したくはない。そのための協力なら喜んで力を振るおう』


 蒼佑(そうすけ)に続けて言葉を返したソフィに、ドラゴンは快く頷いた。


「ありがとう、心強いな」


『その期待に応えよう。私のことはランドルと呼んでくれ』


 灰色のドラゴンは自身をランドルと名乗り、微笑んだソフィに頭を下げた。彼女は元魔王であり、当然ドラゴンたちからも名を知られていた。

 故に、ランドルは彼女から褒められたことに、表には出さないものの喜びを感じていた。


『では、ソウスケ殿ソフィ殿、頼んだぞ……ランドルもな』


 長の言葉に二人と一体は頷いて、控えていたコグトスたちと共に去っていった。長はその背中を見送り、時代の変化をしみじみと感じていた。


 自分たちドラゴンが、まさか人間と手を組む時が来たのかと。




 ドラゴンたちの棲み処を離れた蒼佑(そうすけ)たちとソフィは、魔族たちのいる城にてコグトスたちと別れ、一度マハラに寄ることにした。

 ロックたちは幸多(こうた)たちパーティと行動を共にしており、フラシア王都にて蒼佑(そうすけ)を待つことにしている。


 そちらへと向かう前に、アスラの封印に成功したことと、これからの戦いについてチュリカと話がしたいと考えたのだ。

 ランドルの背に乗りマハラに到着した蒼佑(そうすけ)たちは、ドラゴンに警戒して集まってきた者たちに、背中から降り手を振って自身をアピールした。


 すると、目の前にある大きな屋敷からチュリカが現れ、またマハラの入り口の方からグラットが駆けつけてきた。


「ソウスケ!これはまたすごいの連れてきたな!」


「ドラゴン?小柄に見えるけど、随分と強そうだね」


 驚きを隠そうとしないグラットと、感心したようにランドルを見つめるチュリカである。そんな二人に見つめられたランドルは、蒼佑(そうすけ)に声をかける。


『なっなぜ彼らはこうも敵意がないのだ。というか、魔族までいるのか?殿方よ、ここはいったい……?』


「まぁ、ここには人間だけじゃなくて色んな人たちがいるんだよ。今更ドラゴンが一人来たくらいで、とやかく言ったりしないさ。ランドルのことは俺たちが紹介すれば、みんなすぐに受け入れてくれる」


「ここの皆はソウスケのことが大好きだもんね!」


 困惑したランドルを撫でながら、蒼佑(そうすけ)がその目を見て微笑みかけると、ソフィがニコッと笑う。

 ぱちくりと目を瞬かせるランドルは、ふむ…と生返事をした。

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