一話 勇者転移
初めての書きます。
拙作ではありますが、もし良ければ見て頂けると幸いです。
生きていれば少しくらい突飛な出来事も起こることはあるだろう。
それはいつ訪れるかは分からないものだが、それでもちょっとは限度というものもある。
友人の和泉 幸多 。
そしてその彼女の明海 夢愛。
その友人の真木 栞。
そして俺、隼 蒼佑の4人で放課後の学校で話していた筈だった。
しかし突如として強い脱力感に見舞われ、視界が黒く染まる。
視界が開けた時、見えた景色は見慣れない場所、まるでどこかの国の城のような部屋、その一室に俺たちは存在していた。
「おおっ！出来ましたぞ！」
「四人とは！今までにない快挙だ！」
「これで我がイルギシュ帝国も勇者誕生の国として名を馳せることができますな！」
俺たち四人を放置して周りはざわざわと驚嘆と歓喜の声を上げる。
すると正面にいる豪華な服を着た偉そうな初老の男性が口を開く。
「静粛に。・・・さて、私の言葉はわかるかな？私はイルギシュ帝国の皇帝、ゴードン・グラシア・イルギスだ。そなたらの名は？」
唐突な問い掛けに対して、驚きながらも幸多が答える。
「えっ…と俺は和泉 幸多、コウタが名前でイズミが姓です。そしてこっちが俺の友人たちで、えと、明海 夢愛と真木 栞、そして隼 蒼佑です。えと…みんな…」
しどろもどろになりならがも、一人ひとりを手で示し、俺たちの名前を答える幸多。
おそらく姓と名を説明しようとした所でゴードンが口を開く。
「ふむ、そなたらの名前はわかった。詳しいことはまた後ほど聞くとしてだ、差し当たってこの状況の説明をしたいと思うのだが、如何かな？」
「あっ、と…お願いします。」
「うむ、私たちはそなたらを召喚させてもらった。」
「…」
あまりにもどストレートな説明？に幸多まで完全にフリーズしてしまった。
(いやいやもう少し説明の仕方とか無かったのか…もしかして全員揃って気が動転してるからあれこれ言われてもそう簡単には飲み込めないってわかってるから、敢えてストレートに言う事にしたのか…？)
そんな俺は意外にも冷静だった。
こんな展開は創作物でだって見ることがないので、もっと驚きそうなものであるが、ここまで来ると案外驚かないものだ。
なので俺からも話掛けてみる事にした。
「もしかして、別の世界から人間を召喚しなければならないような事態があったって事ですか。」
俺の質問にゴードンは目を見開いた。
「う、うむ、そうであるが…よく分かったな。今、我々人間は魔王という存在が率いる魔族達との戦争をしている最中だ、しかし状況は芳しくなく、終戦の目処も立っていない状況だ。
そこでそなたらを召喚させてもらった、勇者として魔族と戦って貰う為にな。」
「ゆ、ユウシャ？ってなんですか？」
フリーズから無事復活した幸多が問いかける。
「勇者とは圧倒的な力を持ち、闇を切り払う、我々人間にとって希望だ。
魔王との戦いに勝ち、平和を取り戻す為のな。」
「つまり、俺たちに力を戦えって事ですか？」
「そういうことだ、もっと言えばそなたにだがな。コウタ殿」
「えっ俺ですか！？」
「そうだ、そなたから出るその魔力…それこそ勇者の証であろう。」
「…へ？」
そう、幸多こそイルギシュ帝国の召喚した勇者である。
その後俺たちはゴードンに代わって別の人から色々と説明を受けた。
五年前に魔王が倒された為、無事戦争も終わったが、落ち着いたはずの魔族達が新たな魔王によって進撃を始めたらしい。
敵の進撃は激しく、こちらは多数の死者を出しながら守勢に回ることでいっぱいいっぱいで攻めあぐねていた。
そこで別世界からの人間に頼ることにしたらい。
これから暫くはこの国で修行し、後に最前線に走ることになる。
と言っても地道なことになるが。
(どうして幸多が…)
ギリリと歯噛みする。
黒い感情が湧き上がる。
この感情は、怒りだ。
取り敢えず一話はこんな感じです。
続きますので何卒宜しく御願いします。
