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「神子と女神の冒険」 外  作者: スルー
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ニアルド村の親子、その後

 俺たち親子はとある冒険者によって命も危機も全てを救われた。村が壊滅してあてもなく途方に暮れそうだったのに、追加料金も物品も求めずただ助けたいという気持ちだけで遠い遠い街まで送ってくれ、更には生活費のすぐに困らないよう逆にお金までも渡してくれて、二人には感謝してもしきれなかった。

 しかし渡された硬貨は見た事もない、銅貨・銀貨は使っている、金貨も存在は知っている。となると、知らないだけでその間の価値の硬貨か金貨より上の硬貨であると予想出来た、多分人に簡単に渡すのだから前者だろう。

「母さん、メルア。とりあえず今日の寝る所を決めようか?」

「はい!」「うん!」

 二人とも賛同してくれ、警備兵に安い宿を紹介してもらう

 オルバーとネルターの間にメルアがそれぞれ手を繋いでいる

「ふんふんふーん♪」

「メルア楽しそうね?」「うん!」

二人は昨日あんな事があったから不安に思っていたけれど、むしろこれまでよりも楽しそうだった、今まではどこか元気が無く、人(親も含む)の様子ばかり気にして大人しかった、唯一絵本を読んであげている時だけ無邪気だったといえたのだ

 少し古ぼけた宿屋に到着して受付に向かう

「すみません、お部屋空いてますか?」

「はい空いておりますよ、3名ですか?」

「そうなんですけど、これは使えますか?」

オルバーが台にレティから貰った華貨を置く、すると受付の人は震え出して申し訳なさそうにする

「も、申し訳ありません…、こちらの貨幣はウチでは取扱いが難しく」

オルバーとネルターはその反応に驚愕して謝り、主人を宥める

「えー…?この貨幣は如何ほどの価値でしょうか?」少し恐々と尋ね返ってきた返答を聞くと二人とも血の気が抜け落ちてしまった。

「パパ?ママ?大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だよ」「心配させてごめんね…」

 オルバーは宿は断って、メルアに謝りながら外に出る

「母さんどうする?」「そうね…」

「どうしたの?寝る所(おうち)に行かないの?」

「メルアごめんね…、もう少し待ってね」「うん、大丈夫だよ!」「ありがとう」

 少し話し合いをして、案をあげる

1,華貨を扱っている店を探して使ってくずす

2,ギルドで手数料を払って両替してもらい安い宿に泊まる

3,いっそのこと良い所に泊まる

 貧乏だった家族には大した案は出なかった、もちろん2と3はすぐ却下、善意で貰ったお金を無駄にするようで銅貨1枚たりと無駄にしたくはなかった、かといって中々決まらなかった、、、…のだがすんなりと決まることなる

「そろそろ家に帰ろうよ」

メルアがそう言う、二人は寂しそうに幼い娘は理解していなかったんだねと思った。オルバーはメルアと視線を合わせる

「メルア、よく聞いてくれな」「うん」

「住んでいた家は村が無くなった時に住めなくなったんだよ」「知ってるよ?」

深刻そうに当たり前のことを話す両親にメルアは頭にハテナマークを浮かべてしまう

「だからここ(・・)に住むんでしょ♪」

物の価値が知らない(6歳児)だから言えたのだろう、単純に、この前来た時は旅行(出稼ぎ)だったから宿に泊まったが住むのなら家じゃないの?と考えていたのだ

 二人は娘の言葉にポカンとしてしまった、切羽詰まってはいるがレティさんのおかげでお金に困っているわけではない、いずれ返すつもりでさえいる、が困らない為の生活費として渡してくれたのだ!倹約しないと。

 オルバーは娘を軽く抱き締める、メルアは不思議そうな顔をしているが笑顔を見せる

「そう…だな、家を探して見るか

どっちにするか(借家か購入)は行って決めよう」「お父さん…、そう…ですね」

 親子は物件屋の位置を聞いて訪ねてみることに決めた


「いらっしゃいませ、こちらにどうぞ」

 物件屋に入るとふくよかな店主が腰を上げて対応してくれる

「先にお尋ねしたいのですが、家を借りるのと買うのは、どのくらいが相場なのでしょうか?」

「はあ、ええとですね、一般的な家を借りることになりますと月に銀貨36枚程度になり、大金貨9枚くらいが購入の目安となります、勿論、条件次第で上下も大きいですが」

 宿屋で聞いたことを当てはめていく、そしてそれを聞くとやっぱり高いなぁと思った、村では村人なら無償で貸してくれ、よそ者でも金貨1枚で住むことが出来たはずだと思い返す

 少し待っていて下さいと離れて二人で相談する

「やっぱり借りることにするか?」

「そうね…、でも今の状況を考えると毎月払っていくことは大変なのよね…」

「そうだな…(メルアを見る)…ここまで見越してくれたとしか考えられないな…」「そうね…」

「ヨシ!俺も頑張らないとな!、ありがとうメルア」「お父さん?うん、どういたしまして」

「うふふ♪」

相談も終わり、戻って店主に大金貨6枚以下の家を紹介してもらう、何件か好条件の家が見つかった、その中で選んだ家は場所は少し悪いがしっかりとした家、家族3人で暮らすだけなら十分な広さがある、そこに決めて購入し物件屋を出る。

「フフフ、家を買っちゃうなんて笑えてくるな」

「そうね…、食事から住む場所まで何から何まで感謝しかないですね…」

 護衛の時のことを思い出しつつ、感謝を神に祈るよう行い、「次は何するの?」メルアの言葉に少し考え、持ち帰るのが大変だが寝具を先に買ってこれからは自分たちの家となった場所へと帰るのだった。


 次の日にケ・ルンというギルドの何とかって地位にいる人が村の事情を確認しに来たけど、ここを訪ねてくるとは情報集めがはやいと感じた。家を買えることに疑問で聞かれたけど、わたし(ネルター)が緊張しながらも「それは…、護衛して下さ」と、まだ殆ど話していない途中で「大丈夫だよぉ、ありがとう」と何だか理解したようでそれ以上聞かれずに、最後に励ましの言葉をかけてくださり帰っていった、とても優秀な方なのだろうと思ったのあった。

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