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「神子と女神の冒険」 外  作者: スルー
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オージー・ケリアムの憂鬱

 ここのところずっとグレイマティによる被害が多い、そのために出没する草原への入り口に兵士を配置することになった、下っ端3人が交代で行うので3日に1回まわってくる、俺も下っ端だからな…。

 仕事は草原への立ち入り制限だ、入れるのはギルド管理長に許可をもらった者だけ、一応領主であるシュオルター様にもらっても大丈夫だがそんなことあり得ないので名ばかりの許可証だが。

「ふぁぁ~あ、今日も暇だね…」

何回目の見張りだろうか?、それなりに回数をこなしたと思う。誰も来ないし偶に来ても説明すれば帰っていく、グレイマティは何故か境目付近には躾られたように近付かないから危険もない、楽だが辛い仕事だ。

 朝も朝になっていない時間だった、一人の少女が近寄って来て草原に入ろうとしている

「こんな時間に子供が?」

まぁ、自分は仕事をするだけだ、ついつい欠伸をしてしまったが説明をする、子供は何度も何度も「おじさん」と繰り返す、イライラしてくる、殴ってやりたくなるがそんなことしてしまったら俺がお終いだ、グレティとかオルターとか分からない単語だが頭に突然スッと入ってきた、俺は落ち着き冷静に尋ねてみると、相手も冷静になったのか丁寧に話して説明してくれる、まさか領主の許可が本当に適用されるなんて思っていなく理解するのが遅くなってしまった、それならばと丁寧な対応しようとしたが……無理だった…。やっぱり苛ついてしまうのは仕方ないのかなおにいさん頑張ったよ?

 無駄の無い美しい動きで草原の方に向かう少女に、やはり推薦される何かがあるのは確かだと思う。

 どのくらい経っただろうか?明るくはなったがまだ早朝だろう、あの少女は大丈夫だろうか?と考えていた時だった、草原の方から何かが走ってくるのが聞こえ警戒する

「グレイマティか!何故こっち(境目)に!?」

あぁ、俺では適わないなと冷や汗が出てくる、でもこれも使命だ!と自分を鼓舞した。が、近付くグレイマティをよく見ると背中に誰か乗っている、それを落ちないよう、揺らさないようにしている?。目の前の崖下でゆっくり止まると乗っているのが討伐しにいった少女とわかる、何故と考えていると頭に声が響いた

『助けてです!、怪我を治してくれたです』

意味が分からなかった、が敵意は感じない、優しいグレイマティだと判断出来た

「そ、そうか、とりあえずこっちに来てくれ」

入れていいのか悩んだ、しかし困っていそうな目の前の魔物と倒れている少女を優先させた

 グレイマティが登ってきて俺の横に腰を下ろし少女を下ろした、賢い!言葉も話せるようだし大丈夫だろう、少女をよく見ると眠っているようだった、魔力が無いせいで少し汗をかいているが無事なようで安心する

「グレイマティ…でいいか?」『はいです』

「そうか、大丈夫だよ、ただ寝ているだけだ」『よかったです』

 さてどうすんの、頭の中はパニックだ、このグレイマティは少女にピッタリと寄り添っているし離したら可哀想だろ?、自分もこんな時に変なことを考えるな、と苦笑いしてしまう。治してくれたということは少女が何かしたのだろう、見て会話をしたところで最近の被害の犯人とは思えない程穏やかな魔物だ

「グレイマティ、今から俺は街へと行き領主にこの子を届けようと思う」『一緒に行くです!』

 答えは想像していた通りだった、はぁーっとため息をついて少女をよろしくして街へと案内する

「なんだ!!、っっ!!オージーか?

何だその、グレイマティ…だよな!」

「うぅー…、そうなんだけど…、無害だ、そのことで領主が出した者が倒れ運んでもらっている

 グレイマティ、挨拶できるか?」

『はいです、こんにちはです』

門にいた兵士は物凄く驚いたが危害がないことは理解してくれたが難しい顔をする、俺もそれは分かる

「時間がないんだよ、お願いします」

 俺が全責任を被ると意を込めて頭を下げると理解してくれたように通してくれた、中に入ると人は殆どいないがそれでも0ではなく悲鳴は上がる、かわいいから触りたいと呟く強者も割といたが、一人一人にしっかり説明をしながら急ぐ、グレイマティも騒いだら追い出されるか攻撃されると分かっているのだろう、自ら喋ることも余分な行動もしない、何より背に乗せた少女を心配していた

 お屋敷に着くと門の前の二人の兵にも説明して俺だけをまず入れてもらう

「スミマセンが、よろしいでしょうか」

入り口で声をかけると少し年の使用人が来てくれる

「何か御用でしょうか?」

「恐らくは、シュオルター・フォン・ラウドル様のご依頼を受けられていた冒険者、キーア・トイエック、サリュー、がグレイマティに接触し倒れられ、只今眠っている状態で御座います」

「それは!?」

どうやらこの方はこの件を知っているようで安心した

「キーア様方は今どちらに?」「こちらに」

外に出て、グレイマティを見ると驚くが背中に乗っている少女を見て安心した

「・・・大人しいですし大丈夫でしょう

こちらに連れて来て下さい」

いや、ダメだろう報告が先ではと思ったが余計なことは言わない、再び屋敷に入ると「こちらです」と廊下を歩いていくとひとつの部屋の前で「ここで大丈夫です、ありがとう御座いました」とお帰りの言葉が出てきた、色々と疑問がおかしな点しか浮かばないこの状況、グレイマティの説明しなくていいの?、ここ、あからさまに大切なお部屋っぽいよ?、街へ勝手に魔物入れちゃったよ?、しかし俺がする行動は言われたことをするだけ、帰って報告書に取り掛かるのだった、見張りをして交代した後にだよ、はぁ~、とんだ日だった。

 *対応してくれた使用人はグレイマティの報告は依頼受注者の報告責任と口を押さえて敢えて領主には説明せずにその娘にだけ来てもらい説明したのはご愛嬌。


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