チルネ、突然の来客
私は普段、自分の能力を活かして森の調査、及び魔物の観察を行っている・・・。
・・・別段やることも少なく、趣味も人付き合いも無く家または木の上でボーっとしていることが多い、一応家事は一通り得意ではあるけれど行っていない
「今日はいい天気だな」
「・・・・・・・(コクリ)」
「魔物が出てるから気をつけなさい」
「・・・・・・(コクリ)」
みんなは優しいから話しかけてくれるが人によってはどこか気まずそうな反応を隠しきれていない時もある、私がいけないのは分かってはいるが苦手なのだ
森の散策も終わり家でゆっくりしていた時だった
「チルネ!遊びに来たよ!」
元気な明るい声で呼ばれる、誰だったか声で分からなかった。家に誰か来たことなんて…
どうしよう…とオロオロしながら扉を少しあけソーっと覗くとそこに立っていたのは少し前にヒュー様の聖域へと遊びに来て私の耳に興味を持っていた人間の・・・名前を忘れてしまいました…ごめんなさい…。でも、きれいな人であったかい人だった、、、ドアを開けて挨拶と謝罪を込めてお辞儀をすると、入っていいか聞かれお通しする
「(・・・掃除しておけばよかった)」
机を挟んで座ると思って片側に座らせてあげると少女は横にずれる、・・・隣に座れってことなのかな?、キラキラした目で見らてるので覚悟を決めて隣に座る。何してたのと聞かれたので両手で机を押す動作をしてから人差し指で胸辺りから下まで動かして今の状態を表してみたら納得してくれた、・・よく伝わったと思う…
こちらがもてなす側のはずだけれど、お菓子を出してくれて一緒に食べる、私は食べ物は味をしっかり感じながら食べたいので食べる速度がとても遅い、他の人と食べても足並みが合わずにイライラさせてしまうと自覚がある。しかしこの少女は、いつもニコニコと(私が勝手にでも)急かされているような感覚も感じないし、見られていて苛立っている様子も無くただ楽しいといった様子、時折食べているお菓子の説明と少女の感想を聞いたりと雰囲気を楽しめていた。
何かした方がいいのかな?特に会話をするわけでもなく時間が過ぎる、不思議と気まずさは感じないがつまらなくないかな?とそう感じ始めてしまう
そして遂にはそのことを尋ねてしまった
「・・・・・退屈…してない?」
不安で返事は聞きたくなかった、『つまらない』、状況が?私が?何故尋ねてしまったか後悔する
しかし返ってきた答えは「うん!楽しい♪」
何をするわけでもない、そんな状況を他人と…そんな地獄のような時間を「楽しい」と言ってくれた、嬉しかった、それからも特に何もなかったが心は穏やかだった、それに「隣にいた不安」が「隣にいる安心感」に変わっていた
どうやら泊まっていくようで、一人分の隙間しかないほど狭いからどうしようと思っていると机を仕舞っていいかの許可を求められたので肯くと、机が少女が持っている鞄に収納されて、代わりに一式の少し大きめの布団が敷かれる
「一緒に寝ようね♪」
少し固まってしまった、どうしよう!と心の中で慌てているが答えはしていた
「・・・(コクリ)」
喜ぶ少女と同じ布団で寝るのだった。
翌朝、森人族の朝は早いが既に少女は起きていた。ニパッっと笑顔で挨拶してくる
「・・・・・おはよう、、ございます」
「うん♪」
少女が布団を仕舞うと机を戻してくれる、そこにあの会でも出てたが私は食べていない料理を出す
申し訳ないけれどもとても嬉しい、ゆったり食事を終えると少女は帰ると言う、なんか寂しい、、、
家を出るのを見送るとちょっとでもと得意の隠蔽魔法を使って付いていく
あちらの森とこちらの森を繋ぐ転移出来る建物に入り隅で見ていた。ヒュー様が来て幾つか会話を交わしてさよならと思ったら、少女がこちらを見て手を振って
「チルネまたね♪」と、驚いた、私の隠蔽魔法に気付ける人がいるなんて初めてのことだった
「!!!、・・・(コクリ)」
魔法を解いて手を振って見送った
・・・。
「あははは♪珍しいね、チルネがここまで来るなんてね♪」
「・・・・//////」
顔が熱くなっていく
「また来てくれるといいね♪」
「/////、(コクリ)」