キーアの何でもない日常
【サッチュリリーヌ】
本日は休息日なので家で過ごすかギルドに依頼を受けに行くか悩んでいました。
サッチュリリーヌにはギルドで依頼を受けることは趣味のようなものなのだ。
そんな時に私にお客様がやってきた、誘拐された時に助けて頂き最後までお世話になったキーア様、サリュー様、レティ様だった
「チュリーヌ、こんにちは!」「おじゃましますです」
「いらっしゃいませですの
今日はどうしたのですか?」
年が近い友達などいない私には、身分にかかわらずに気軽に遊びに来てくれるのはとても嬉しい
「ねぇねぇ、机とか椅子が欲しいの!
選んで欲しいなぁ♪」
どうやら欲しい物の買い物の付き添いをして欲しいそうだ、こんなことで領主の娘である私に頼ってくるのはキーアくらいだろう。さて、悩んでいました予定が決まったですの♪
「わかりました、今日は予定も無いからつき合うですの」
「わーい♪」「ありがとです」
周囲に顔色ばかり伺ってくる人が多い中でこうやって素直なところにとても好感をもっている
本来ならば出掛ける準備が必要なこの街ですがレティによりそれは不必要である
「ありがとうですの」
「どういたしましてです」
この街は砂地に囲まれているので、外では砂が激しく舞っていて街中にも入り込む、なのでそれ相応の対策をしないと酷いことになる、しかし今日は一緒にいるレティの魔法・防御魔法のおかげでそれらから保護してくれ気楽に歩くことが出来た。
キーアたちを家具屋に案内する
「外のお店じゃないんだね?」
以前、この街の露店で購入したようだ、少し言葉を選んで返答する
「色々なお店を見て決めればいいですの」
「そうだね♪」
比較的良い素材で作られている物が多く、一緒に見て回り気になった造形をした物に足を止めていた
「どんなのがいいかな?」「チュリーヌはどれがいいと思う?」
始めの言葉通りに私に託してくるので、私の好みで選んであげると迷いなくそれを即座に購入する
「次行こー!」「はいです!」「はいですの!」
なんだか仲間を組んでいるようで少し浮かれていると自分で感じます
家具以外の買い物も楽しみながらお店や露店を回っていく、こういうことも楽しいですの♪。机や椅子も一式だけでなくいくつも買っていた
・・・。
「チュリーヌ今日はありがとね♪」
昼過ぎる頃に買い物が終わるとお礼を言われる
「これから予定は…あるですの?」
ついつい寂しくなってそう尋ねてしまったが、キーアはうーんと軽く唸ってレティを見た、レティは首を横に振ると笑顔で「無いよ!」と、私も顔が綻ぶのが分かる
「では家に遊びに来て下さいですの」
「うん!行く!」
それから屋敷に帰りキーアたちとは次の日まで一緒に過ごしたのだった。
【オルバー】
今日は仕事が休みだから家族で食事にでも出掛けようと予定をたてていたが、昨夜に妻であるネルターが軽く体調を崩してしまったのゆっくりすることにした
「ママー大丈夫?絵本読んであげるね♪」
「ありがとうメルア、お願いするわね」
「うん!」
俺はそれを椅子に座って微笑ましく眺めていた。
そこへ家の呼び音が聞こえ俺が出ると玄関へ向かい扉を開くと元気のいい声で挨拶をした二人の少女が立っていた
「キーアさん!レティさん!」
この二人は俺たち家族を救ってくれた少し規格外の優秀な冒険者様。あれ?レティさんは違ったっけな?。とにかく恩人である、数回、我が家に来ているようだが俺は機会が合わずに久しぶりの再会だ、思いがけない事で驚いてしまった。キーアさんもまた娘か妻が出ると思っていたのか不思議そうな顔をした
「え?、、、んーっと。そうだった!
オルバー!久しぶり!」
キーアさんは俺のことを忘れていたようだが思い出してくれたみたいだ、レティさんも続くので挨拶する、トタトタと家の方から足音がやってきた
「パパ、ママま…お姉ちゃん!」
顔を向けた俺を無視し向きを変えてキーアさんの元へ、少し寂しい…。
娘は二人を中に引き入れる、妻の体調も良くないからどうしようと思い躊躇ったが娘には関係ないようで「ママ!勇者のお姉ちゃん」と報告していた。
「キーアさん、レティさん、こんにちは」
「おじゃましますです」「おじゃまします!、あれ?どうしたの?ちょっと待ってて、、、えい!、うん!大丈夫!」
表面上元気に見えた妻だがキーアさんはすぐに気付いたようだ、何やら近付いていって何か手を掲げ声を出すと妻は不思議そうに何か確認していた、何か起こったのか?分からない
「どうしたのかしら?、、、あらっ?なんだか調子が良くなったみたい?」
どうやら元気になったらしい、え?もしかして今の一瞬でキーアさんが治してくれた…のか?!!、驚いた!
「お姉ちゃん!今なんか、ぶわぁっ!ってあったかかった、もう一回見せて!」
俺たちには分からなかったが娘は何か感じたらしい、やっぱりキーアさんが妻の体調を良くしてくれたのだろう。「いいよ!」と娘に「えいっ!」っとやって娘はわぁ!っとハシャイでいた
「魔力が感じれるです」レティは感心したようにサウリューネと一人納得していた
3人で遊んでいるようなので母さんの傍に行く
「どうやら治してくれたみたいだね」
「えぇ、そうみたい。すっかり良くなったわ」
後で治療を受けに行こうかと思っていたのだが必要が無くなってしまった、お世話になってばかりとそちらを見ると娘が宙に浮いていて思わず立ち上がってしまった、その姿に妻も何だとメルアを見て驚いていた
「ん?どうしたの?」
娘も気付いたようで振り向いてこちらを向いて段差を降りるようにして床に足を付け歩いてきた
「何をしてたの?」
「えっ?あれに…消えてる!箱に乗っていたんだよ!」
娘はさっきまで居た場所を指さしたが何か無かったようだ、元から何も無かったが両手で四角の箱の縁をなぞるように動かしていたので台のような物が作られてていたのだろう
「レティ!もう一回お願い!」
「はいです」
再び向かっていった、それを見送る俺たちは驚きながらもそれを微笑ましく眺めていた
後にお礼を言ってできる限りのもてなしをする、楽しみにしていた休日の予定が崩れてしまったが思わずに楽しい休日になったのだった。
【名も無き新人門兵】
配属されてまだ数度目の門での仕事をしていた。
「身分証明する物の提示をお願いします!」
「はい?宿屋ですね、どのような・・・」
「確認致しました!、こちらが報告書・・・」
そんなある時、二人の少女が街の中からやってきた
「こんにちは!」「こんにちはです」
元気に挨拶してくれるので返す
しかし。何だろう?、、殆どは兵士に用事が無い限りはそのまま通り過ぎるのが普通だけれど少女がジーっとわたしを見つめている?
「どうなされましたか?」
「んーっと、少し調子悪い?」
「いえいえ!調子は良いですよ!」
最良とまではいかないけれど、悪くはない。元気だと明るく答える
しかし、少女は首を傾げて見つめ続けていた、わたしは少し困っていたら隣の少女が口を開く
「キーア、困っているです、速くトロイユを倒しに行くです」
いとも簡単に言うがトロイユは動きは遅いが力がとんでもなく強い★3ランク上位のかなり厄介な魔物だったはず、油断していると酷い目に遭う、そんな依頼をこんな二人が受けているのかと驚愕する
「そうだね!、んー、えいっ!
よし!行こー!」
何だ、何かわたしにかけ声をかけたぞ?
少女たちはそのまま外へと歩いて行ってしまった
何だったんだろう?、少し心配しつつ仕事に戻ろうとすると身体が軽い!それも凄く軽い!、しかもしっかり寝れた後みたいに気分的に楽である、さっきまでがまるで調子が良くないみたいだ……えっ?
自分では気づかなかったけれど、少女に言われた通りだったのかも…、あっ馬車が通るな、仕事しないと!
・・・。
あれ?二人の少女が和気藹々と戻ってきた、まだ30分くらいだよね?忘れ物かな?
「ただいま!、うん!元気だね、よかった♪」
「あ、はい、おかえりなさい!」
少女たちはそのまま通り過ぎて行った、達成して終わった感じだった、いやいや!速すぎるよ?
・・・今度は元気って言われた、多分最初の時に何かしてくれたんだと思う、戻ってきた時に御礼を言わないとね
それから夕方前の交代まで仕事をしていたが少女たちが門を通ることは無かった、元気そうだったしあのやる気で後日ってことはないだろうし、やはり依頼は終えていたんだろう
その後、トロイユについても改めて調べてみたがやはり前知識と変わらなかったのである。