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ゴミ虫の呟き  作者: 榊原
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序章



――それは、ちょっとした偶然。




俺はその日、久しぶりに高熱を出していまい、それを理由に学校を休んだ。

小学校から続けていた無遅刻無欠席の勲章を剥奪されるのは断腸の思いだったが、高熱に侵されているこの体では、這ってでも学校に辿り着く事は無理そうだった。

今の自分に出来る事は、体を休めて、風邪菌を撲滅し、明日は学校へ向かえる体を用意しておく事しか無いのだと悟ると、俺は潔く布団に潜り込み、瞼を下ろし、眠りに落ちていった。




その日の夕方、俺の住んでいる家の近くで、男性の遺体が発見されたらしい。

“らしい”という曖昧模糊とした表現なのは、俺が直接見たり聴いたりした情報ではなく、買い物から帰った母から聴かされた話だからだ。

買い物袋片手に、嬉しそうに遺体が発見された事を報告する母に、俺はプリンを食べる手を一瞬止めて、


「不謹慎」


と、少し軽蔑気味に呟いた。


俺にとって、“男性の遺体が自宅の近辺で発見された”という情報は、昨晩、食事中に母から聞かされた“隣の柴田さんの犬が子供を五匹産んだ。オスが三匹とメスが二匹”という情報と同じくらい興味が湧かなかった。

そんな事よりも、俺は明日登校する事が出来るのか、という事ばかりが気掛かりで、気が気でなく、少しでも体を休める為に、俺はリビングを出て、自室のベッドで布団を被り、無理矢理に眼を閉じた。 




“男性の遺体が発見された”らしい、少し肌寒い秋の日の出来事だった。

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