表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/108

67

 ぼやけた目で彌眞は二人を見る。

 その時、木の葉の上にのっていた水滴が、彼の首筋に落ちた。


「ひやっ!」


 彌眞は高く宙に跳びあがると、両足で着地する。

 目をぱちくりと何度もしばたかせる。

 その動きが可笑しくて、二人は一斉に笑い出した。


「・・・・・・」


 目を覚ました彌眞は恥ずかしそうに二人を見ると、照れながらその場に座わる。


「おはようございます」


 咄嗟に彼は律儀に挨拶をした。


「おはようございます」


 二人は返事を返す。

 三人は顔を見合わせると自然と笑い合った。

 その後、采乎が十六夜と同じ問いかけをする。


「彌眞様、お身体の具合はどうですか」


 彌眞は立ち上がり、全身を動かして頷いた。


「大分、いいです」


 と、笑顔を見せた。


「それは、よかった」


 采乎は安堵する。

 十六夜はさっきの自分とのやりとりを思い出し、くすくすと一人笑う。

 彌眞はそんな二人を穏やかに見ていたが、辺り一面が濡れていることに気が付く。

 それに余波達もいない。


(おや、晴天だったはずだが・・・余波殿・・・は?)


 一瞬にして彌眞の表情は険しくなる。


「いつまで、眠っていた!」


 急に語気を荒げて言った彼に二人は驚く。

 さっき知った十六夜が、


「一日半・・・」


 と言うと、彌眞は勢いよく立ち上がり、山を見据え走り出そうとする。

 十六夜もそれに倣い立ち上がる。

 采乎は両手を広げ止める。


「どこへ行くのですか」


「えっ」


 分かるでしょという二人の顔を意に返さず、


「慌てても仕方ないでしょう」


「しかし・・・」


 今、邪馬台国、周辺のクニグニは危機に晒されている。それを思うと、二人は居ても立っても居られない。

 采乎は首を振る。


「休んだおかげで、ここまで回復したのですよ」


 二人は背振山を前にした自分達の姿を思い出す。

 采乎は続ける。


「まず、あなた方の身体があってのものです。心が急いても身体が伴わなければ、かえって状況は悪くなります」


 一本気で直情的な采乎にしては、珍しく二人を諭すように言う。

 彼女は自分が落ち着いて冷静でいられる時は、聡いようだ。


「でも、急がないと」


 彌眞は食い下がると、采乎は同調し頷く。


「確かに、急がないといけません。でも、その前に腹ごしらぇをしてからでも遅くありません。どうせ、一日半も経っているのですから」


 采乎は豪快に笑った。


「お腹が落ち着けば、きっとうまくいきます」


 なんだかうまく言いくるめられたと思った二人だったが、お互い顔を見合わせると、采乎のいう事を聞くことにした。

 とりあえず一理はあるし、ごねると彼女が怒り出すというのもあるので、ありがたく食事をいただくことにした。


 鳥のさえずりが心地よく響く中、しばし食事をとる。

のち三人は余波達を追うべく背振山へと登った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ