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年長者はそれを見逃さず、男達を見た。
彼らも確信に満ちた顔で同調し頷きあう。
強い自信を持った彼らは頬を紅潮させ、
「そうなのですね」
二人の眼前まで顔を突き出して、年長者は言う。
その圧倒的迫力に二人は自然に頷いてしまう。
「我が王があなた方をお待ちです」
二人は状況を把握出来ずに顔を見合わせる。
男達は喜び、二人の発見の喜びを互いに称え合っている。
若い男が誇らしげに胸をはる。
「さぁ、我がクニへご案内いたします」
と満面に笑みを浮かべて言う。
(こんな事ってあるのかしら)
十六夜は心の中で呟いた。
蘇奴国や対蘇国の冷遇を思い返すと、今の状況がとても信じられない。
何かあるのではと、勘繰りたくなるが、男三人の喜びようを見ていると、どうやら本当と思える。
彌眞も同じ思いのようだった。
ひとしきり考えているようだったが、空を見上げると一人頷いていた。
「さぁ、まいりましょう」
男の急かす声で、彌眞と十六夜は現実へと戻される。
三人はすぐにでも弥奴国に連れて行きたい様子だった。
「もう、少し待ってください。連れの者がいます」
十六夜は丁寧な口調で言った。
采乎がまだ戻っていないし、自分達の疲れも回復していない。
彼女はそう伝えると、安心したのか彌眞にもたれかかり、すぐに寝息をたてていた。
彼は慌てて抱きとめるが、彼自身も危機感が杞憂に終わり、ほっとして、どっと眠気が込み上げてくる。
「・・・もう・・・少し・・・だけ」
と言うのがやっとで、再び大木に背をもたせると眠りにつく。
身体は力が抜けたように、ずるずると背中からすべり、二人して地面に座り込んだ。
そのまま二人は気持ちよさそうに眠っている。
男達は、どうすることも出来ずに、二人が起きるのと、采乎を待つ他なかった。




