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返事と同時に、大木の裏から三人の男たちが出てくる。
彌眞は驚いた。
気配は一人だけしか感じられなかったのに、三人もいたからだ。
「よかった。気づかれましたか」
ずいぶんな挨拶である。
(こんな事をされて起きない方がおかしい・・・なかなか起きなかったけど)
と、彌眞は思ってしまう。
「何度もお声がけしたのですが・・・」
男が言うと、一様に二人は頷く。
(呼んだ・・・)
彌眞は、自分が疲れていたこともあったが、気配に感じられなかった自分に、無性に腹が立ってくる。
十六夜は思案気味の彌眞をよそに、
「ところで、私達に何か用ですか」
彼女の声に彼は我に返る。
男達は二人に柏手を打ち、恭しく一礼をする。
(どうやら礼節をわきまえている人達らしい。さっきは・・・ひどかったが)
彌眞はそう思い、十六夜と顔を見合わせると、自分達も柏手を打って一礼をする。
男達の中の年長者が話を切り出す。
「私達は弥奴国の者です」
彌眞は言葉の響きが冷めやらぬ内に、鏡片の一つがこのクニにあることを思い出した。
目指していた国の人達と出会うとは、彼の気持ちは一転し、思わず顔が綻ぶ。
年長者は訝しげに彌眞を見るが、話をすすめるべく続ける。
「ぶしつけに失礼かと思いますが、あなた方の旅の理由をお聞かせください」
いきなりの核心をついた質問に、二人は警戒する。
年長者は慌てて手を振る。
「そんなに警戒しないでください・・・もしかして、あなた方は卑弥呼様の鏡片を集めて旅をなされているのでは」
上目遣いに探るような目で二人を見つめる年長者に、二人は核心をつかれ驚いた表情を見せる。




