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「しからば、真実を示されよ」
長の無慈悲な言葉が、十六夜の身体を硬直させる。
彼女は炎の熱気に晒されているというのに、全身に悪寒を感じた。
弱気が襲う、首を激しく振って払い落すと、ゆっくりと甕の前に進み出た。
湯気の気化した蒸気と熱気が十六夜の顔にまとわり、彼女は顔をしかめる。
耐えながら瞑想をする。
(私は真実)
心の中で念じ信じる。
瞳を見開き、長をじっと見つめる。
右腕を高々とあげ、一気に甕の中へと突っ込む。
じゅーという激しい異音が響く。
一瞬にして苦痛に顔を歪める十六夜。
真っ赤に腫れあがり膨張する自分の腕を見て、涙が溢れる。
彼女は激痛で意識が朦朧とする。
(やはり、このまじないは・・・偽りだ)
悔しさが込み上げてくる。
長を憎しみ睨む。
長は意に介せず、悠然と彼女を見つめ返している。
(悔しい・・・悔しい・・・私は何も間違っていない)
朦朧とする意識の中、長に瞳で訴えかける。
(私は・・・真実)
十六夜は限界に達し、視界が闇に覆われる。
彼女は本能的に感覚がすでにない右腕を、甕の中から上げると、後ろへ倒れる。
後頭部を強打した。
長はそれを見て、頷いた。
采乎は十六夜のもとへ飛び出す。
兵士たちが采乎を遮ろうとするのを、彼は手で制した。
それから巫女達に盟深探湯の終わりを告げる。
長はゆっくりと十六夜の元へ行き、采乎を押しのけると彼女を抱きかかえた。
周りの兵士や巫女たちが、長の審判を仰ぎ見る。
長は周りを見渡すと、高らかに宣言した。
「これにて真偽は決した」
長はさらに声を張り上げる。
「この者達は、真実である」
長の耳を疑う決定に周りはざわつく。
結果を見れば、十六夜の状態は無残で、とても真実であるとはいえない。
長の決定に不満を持つ声さえ聞かれる。
長はじっと黙っている。
それから、かっと目を見開くと、恐ろしい形相で周りを睨みつける。
周りは射すくめられ、にべもなく黙り込んでしまう。
アドバイスをうけて、少し書き方を変えています。
ありがたや~。
多少でも読みやすくなるとよいのですが。
引き続きよろしくお願いいたします。




