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彌眞の視線の先で倒れていた兵士がゆっくりと立ち上がり、顔には死相を浮かべながら鉄剣を身構える。

迫りくる蘇邑と対峙した。

兵士は王を責めるような眼差しで睨みつける。

「王よ!何故、邪馬台国を裏切る!」

 次の瞬間、蘇邑は無慈悲にも兵士の首に矛を突き刺す。


 鮮血を噴出し絶命しながらも、兵士は恨みがましく王を見つめていた。

「邪馬台国に何が出来た。王を救えたか?我らを救えたか?」

 屍と化した兵士に蘇邑は問いかけるように言う。

 彼は物言わぬ兵士の屍を見て、自嘲気味に笑うと、矛を抜き辺りを見渡す。

 

 物陰に隠れていた彌眞と王の視線がばったり合う。

 思わず、彼は視線を逸らす。

 蘇邑は薄ら笑った。

「無事であったか、敵国の使者よ」

 王はゆっくりと威圧するように言う。


「・・・・・・」

 彌眞は王の発する圧倒的威圧感に、返事をすることが出来ず怯えていた。

 蘇邑は少し語気を強める。

「出てまいれ、邪馬台国の使者よ」

 王の苛立ちが見て取れる。


 彌眞は震える身体で覚悟を決めた。

(邪馬台国に弓を向ける者は、平和を乱す者、この王は生かしておけない・・・だけど私に王を殺めることが出来るのか)

 屍となった兵士を見る。

 憎しみに満ちながら消えて行った魂、彌眞の心は据わった。

(王を殺す)


 物陰から彌眞は姿を現すと、走り出し兵士の剣を手に取る。

 彼と王の視線が交錯する。

(私は死ぬな・・・十六夜すまない)

 彌眞は王に敵わぬことを本能で悟った。


 それでも両手に剣を持ち、蘇邑へと飛びかかった。

 王は矛を一閃する。

 激しい衝撃により彌眞は剣を落としてしまう。

「!」

 王は右手一本で、彌眞の首元を掴み、高々と持ち上げ絞めあげる。

「どうした終わりか」

 冷徹な一言が、彌眞を絶望の淵へと追いやる。


 彌眞は呼吸が出来ずに、意識が朦朧としはじめる。

 先陣を切った王の元へ、反乱に従った兵士が続々と集まる。

戦いの趨勢は蘇邑の勝利へと傾いている。

彌眞は薄れ行く意識の中で、このクニの行く末を思う。


意識が消えかかる瞬間、蘇邑は手を離した。

地面に叩きつけられ、激しくむせかえる彌眞に、兵士達は襲いかかろうとする。

王は大喝し、それを制する。


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