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「えっ」
「うわっ!」
二メートルぐらいの高さから、二人は抱き合って落ちた。
彌眞は両足で着地を試みるが踏ん張りきれずそのまま倒れた。
采乎が喜び二人のもとへ駆けつける。
が、倉庫自体が崩れ落ちようとしていた。
「上!」
彼女が叫ぶ。
彌眞は上を見上げる。
炎にまみれた床が頭上から落ちてくる。
彼は十六夜を抱きかかえたまま跳んだ。
炎に包まれた残骸が二人のさっきまでいた場所に落ちてきた。
高床式倉庫は見る影もなく、地表に落ちた残骸の炎が最後まで貪り尽くしている。
「助かった」
彌眞は呟いた。
「良かった。良かった」
采乎は彌眞の肩を何度か優しく叩き二人の無事を喜んだ。
「ありがとうございます」
十六夜は礼を言う。
辺りを見渡すと、高床式の倉庫群はすべて焼け落ちていた。
戦火は集落の方へと移っている。
クニの存亡をかけた激しい攻防が繰り広げられているようだ。
彌眞は采乎に尋ねる。
「どのクニとの戦いか分かりますか・・・戦況は?」
「いいえ、私には・・・何が何だか」
采乎は目に涙を浮かべながら首を振った。
「十六夜をよろしくお願いします」
彼はそう言うと、戦が行なわれている集落へ走る。
彼女は走る彼に向けて叫ぶ。
「どこへ!」
「確かめる。十六夜あなたは采乎と一緒に逃げろ」
と言い残し、彌眞の人影は小さくなって消えて行った。




