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彌眞は必死に扉に体当たりをして、脱出を試みるが、入り口を大木で塞がれていて、びくともしない。
十六夜も一緒になって体当たりするが無駄であった。
一瞬のうちに倉庫のすべてを覆った炎は、じわじわとすべてを灰燼とすべく、侵食
しはじめる。
次第に倉庫内に高温の熱が溜まっていく。
「熱い!」
彌眞が叫ぶ。
「まだ死にたくない!」
十六夜は悲嘆にくれる。
が、二人はまだ体当たりを続ける。
板の隙間から炎が噴出し火の海と化す。
見れば互いの身体は火傷だらけだ。
十六夜は全身傷だらけで、長い髪をふり乱し体当たりを繰り返す。
彌眞は続けようとする十六夜の片手を掴むと抱きしめた。
「もう駄目だ」
そう呟く彌眞の胸に、十六夜は顔を埋めて静かに目を閉じる。
「はい」
お互いに覚悟を決めた。
・・・その瞬間、入り口の大木が打ちつけられる音がする。
「大丈夫ですか」
声の主は采乎だった。
二人の顔が喜びへと変わる。
「大丈夫です」
「良かった。すぐに助けますね」
采乎の安堵した声。
後、彼女の雄叫びがあがる。
「うりゃあ」
彼女の勇ましい雄叫びと共に、倉庫全体が揺れるが、大木は動かない。
二人は再びあきらめ顔となるが、采乎の気合は衰えず大木を懸命に壊そうと試みている。
「もういい、采乎さん逃げてください」
と、彌眞。
「このままでは、あなたまで死んでしまいます!」
十六夜は叫ぶ。
彼女はそれを無視し続けて、二人を助けようと破壊行動に没頭している。
「くそっ!」
彌眞は床を思いきり踏んだ。
その時、ずぼっと激しい音がして床が抜ける。
二人が空中へと投げ出される。




