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「いったい・・・」
「このクニで戦が起こっているのでしょう」
「狗奴国との戦でしょうか」
「・・・・・・」
彌眞は十六夜の言葉に黙り込み考える。
(確かに狗奴国との戦いは考えられるが、蘇奴国の強固な守りを突破できるのだろうか)
彼は軍事色強い蘇奴国を思い浮かべ、自分達の閉じ込められた日数を数えてみる。
(・・・私達が閉じ込められるまで戦の気配はなかった・・・まさか!)
彌眞は王の憎しみに満ちた表情を思い出す。
周りの音はどんどん大きくなっていく。
「どうなるのでしょうか」
十六夜は不安げに尋ねる。
「大丈夫、きっとなんとかなります」
と自身は気が滅入りながらも強がりを見せた。
彼女も空元気で、
「そうですね。きっと何とかなりますね」
とこたえた。
その時、風を切る唸り声が聞こえる。
ずとっと何かが突き刺さった声が聞こえ、次の瞬間、ぱちぱちと燃える音が聞こえた。
「火矢だ!」
「えっ!」
彌眞は叫び、十六夜は絶句する。
あっという間に暗闇の場は、炎によって赤々と照らしだされた。




