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十六夜は唇をかみしめ、俯いた。
「あなたは・・・あなただけじゃないはずだ」
彌眞は口調を和らげゆっくりと伝える。
彼女は、自身の軽率さに身震いを起こした。
再び、泣き声が聞こえる。
(また泣かせてしまった)
彼は言い過ぎたことを反省するが、今は言うべきという確信があったので後悔はない。ただ、彼女に対して一種の羨ましさも感じる。
(どうして、前に進むことが出来るのだろう)
彌眞は動けない自分を歯痒く思う。
彼は沈黙した。
「・・・軽率でした」
十六夜は呟いた。
「私が軽率でした。ごめんなさい」
彼女は改めて、はっきとした声で言う。
「今後、気をつけてくれたらいいです」
彌眞は優しく言った。
十六夜は暗闇の中、頷く。
「話の続きなのですが」
「どうぞ、続けてください。私は十六夜の冒険談を聞きたかったのですが、あなたがあまりにも無茶な事をしたので、一緒に旅をする者として言わなければと思いました」
彌眞は言い訳がましく言ったことに、少し後悔した。
「はい。今後は気を付けます」
「よろしくお願いします」
「では・・・私は宝物殿に入りました。そこには」
十六夜は静かに息を吸い込み、一気に語り始めた。
「部屋の中央に私たちと同じ鏡片がありました。それは紛れもない。鏡片には朱雀も描かれていました」
「なっ!」
彌眞は驚く。
「私は自分の考えが当たったことに、後悔しました。王が鏡片を隠していたということを暴いてしまったのですから」
十六夜はそこで小さく溜息をつく。
「私は事実を知り、一刻も早くここを出なければとおもいました。・・・でも」
「捕まってしまったのですね」
「はい、気絶させたあの兵士に」
(だから言ったじゃありませんか)
彌眞は喉元まで言葉がでかかったのを抑える。




