33 七、囚われの身
七、囚われの身
「真っ暗でなにも見えないな・・・しかし倉庫に閉じ込められるとは」
彌眞は真っ暗な部屋で呟く。
彼は采乎と共に集落に戻った後、すぐに捕らえられて外れにある高床式倉庫に閉じ込められた。
すでに夜となり、周りには松明などの火の灯りもない。
彼は手探りで周囲を確認し床に座った。
「彌眞」
聞き慣れた声がする。
「十六夜ですか・・・」
返事はなく、
「ごめんなさい」
彼女からは謝罪の言葉があった。
「大丈夫でしたか」
彌眞は優しく声をかける。
十六夜は彌眞が来て安心したのか、涙が溢れて慟哭する。
彼は泣き声を頼りに彼女の側に近づくと、隣に座り横壁にもたれ目を閉じる。
しばらく十六夜は泣いていたが、一度大きな鼻をすする音がした後は、落ち着きを取り戻し泣き声はおさまった。
二人の間に静寂が訪れた。
(泣き疲れて眠ってしまったのだろうか)
彌眞がそう思った時、十六夜が話しかけてきた。
「もう、大丈夫です」
「そうですか」
「ごめんなさい。私のせいで」
彌眞は暗がりの中、首を振る。
「いいのです。でも、何故」
「・・・」
十六夜はしばしの躊躇いの後、話し出す。
「あなたと別れてから、ずっと考え事をしていました」
彼は話に聞き入る。
「この旅の事、おかあさまの事、故郷の事・・・そしてあなたの悩みの事」
彌眞は一瞬、どきりとした。
自分の事で十六夜がこんなにも悩んでいるとは思わなかったのだ。
今までずっと自分の中にしまい込んでいた悩みの事で、彼女を苦しめていた、それに気づかされ思わず耳を塞ぎたくなった。
あの言葉を思い出す。
(私も苦しいのです・・・教えてください。あなたの苦しみを)
(十六夜も苦しいのだ)
彌眞は心の中で問いかける。




